fc2ブログ

Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

RSS     Archives
 

(続)Land of あれこれ

 

イザベラ・バードと日本の旅 (平凡社新書)イザベラ・バードと日本の旅 (平凡社新書)
(2014/10/15)
金坂 清則

商品詳細を見る


『ツイン・タイム・トラベル イザベラ・バードの旅の世界 写真展』という展覧会を見たことを昨年ブログに書いたこともあり、金坂清則さんの新書を読んでみました。研究の成果を伝えようとする大変密度の濃い内容になっています。好奇心旺盛な女性が思い切って旅をしたというのではないことが浮き彫りにされていきます。

この新書で、イザベラ・バードのUnbeaten Tracks in Japanの完全本の結論部分にThe Land of the Rising Sunが登場しているのを知りました。」

Of the shadows which hang upon the horizon of Japan, the darkest, to my thinking, arises from the fact that she is making the attempt, for the first time in history, to secure the fruits of Christianity without transplanting the tree from which they spring. The nation is sunk in immorality, the millstone of Orientalism hangs round her neck in the race on which she has started, and her progress is political and intellectual rather than moral; in other words, as regards the highest destiny of man, individually or collectively, it is at present a failure. The great hope for her is that she may grasp the truth and purity of primitive Christianity, as taught by the lips and life of our Lord Jesus Christ, as resolutely as she has grasped our arts and sciences; and that, in the reception of Christianity, with its true principles of manliness and national greatness, she may become, in the highest sense, " The Land of the Rising Sun " and the light of Eastern Asia.

日本に忍び寄らんとしている影のうちで最も暗いものは、私の考えでは、この国が種々の果実を生み出す[キリスト教という]木を移植しないで果実[だけ]を得ようとしてきているという事実 –史上初めてのこと−に由来する。国民は不道徳に陥っていて、この国が始めた競争の過程で東洋人の特異性という大きな石臼を首に掛けられるのである。またこの国の進歩は精神的な面のものではなく、政治的、知的な面のものである。換言すれば、最も重大な人々の運命に関していえば、個々にも全体的にも進歩は無きに等しい。日本に何より望まれるのは、この国が、私たち[西洋]の諸技術や諸科学をつかんだのと同じように積極的に、我らのイエス・キリストが唇と命をもって説かれた初期キリスト教の真理と純粋性をつかみとることである。また、雄々しさと国民の偉大さの真髄を備えつつキリスト教を受容する時に初めて、この国は最も高尚な意味において「日出る国」、東亜アジアの光となり得るのである。


この部分はSamuel MossmanのNew Japan, the Land of the Rising Sunを意識してのことではないかと金坂先生は指摘します。100年以上も前にこういった本が出ていたのですね。

New Japan, the Land of the Rising Sun Its Annals During the Past Twenty Years, Recording the Remarkable Progress of the Japanese in Western Civilization by Samuel Mossman (1873)

(本の書き出し)
The land of the rising sun" — Such is the poetic designation
which the Japanese give to their romantic group of islands in the far East ;

(本の締め)
and now their national cry in the peaceful path of progress is " Forward ! Onward ! New Japan ; the Land of the Rising Sun !"

翻訳というとすぐに嫌な顔をする英語教師がいますが、異文化理解は自分の視点を押し付けることではないことを意識することはとても大切なことだと思います。金坂先生の本は以下を出発点にすることの大切さを語っています。

「旅行記を読むとは、その基になった旅を読み、
旅する人を読み、旅した場所・地域を読み、
旅した時代を読むことである」


英語学習者の方には「原著に記された「言葉」をどう訳すか」の部分だけでも読んでいただきたいです。このあたりの問題意識のない人が多すぎる気がするからです。

例えばバードの原文にtrousersやopen shirtsとあっても文字通り「ズボン」や「前の開いたシャツ」と訳すのではなく、明治時代の日本の描写なのだから「もんぺ」「襦袢」とする方がふさわしいと指摘します。また、daikonとあってもほとんどが沢庵のことを指すのは臭いや作り方を記していることから明らかではないかと語ります。

「英語は英語で」というのもいいですが、こういう検証は翻訳だけでなく、異文化理解という点からとても大事な視点だと思うのです。外国の人と仕事を進めにあたってもこのような視点がないと必ずといっていいいほどトラブルの種になってしまいますから。。。

スポンサーサイト



Comment


    
プロフィール

Yuta

Author:Yuta
FC2ブログへようこそ!




最新トラックバック



FC2カウンター

検索フォーム



ブロとも申請フォーム

QRコード
QR