Posted at 2015.02.08 Category : 未分類
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村上春樹が翻訳の師匠として飛田茂雄さんと柴田元幸さんをあげていました。
飛田茂雄さんはYutaにとっても永遠の目標みたいな方です。英語文化の知識についておろそかにせず 専門外にもかかわらずアメリカ憲法を自ら訳し直した姿勢にはすごみがあります。
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英語資格や学習教材が溢れている現在ですが、そのような良さがわかるのは自分がある程度実力をつけた後なんですよね。YutaがTOEICや英検の完成度の高さを実感できるようになったのも何にもしないで受けても別に疲れることなくそれなりのスコアが取れるようになってからでした。そのあたりのことを飛田先生も語っておられます。学習法うんぬんの前にがむしゃらにいろいろ触れても無駄にはならないと思います。
芸術であろうとスポーツであろうと、すぐれた教則本に書いてあることのひとつひとつをなるほどと納得できるのは、自分の能力がかなり進んでからである。私はずっと昔、友人に誘われてしばらくゴルフ場に通ったことがある。もちろん人並みに教則本をかじってみたが、ドライバーのテークバックひとつにしても、スローモーション写真を細かく分析したような説明にこちらの動作が全然ついていかず、ただいらだつばかりであった。それでも、何ヶ月かボールや土くれを打っているうちに、書いてあったことの意味がほんのすこしわかってくるのだった。翻訳についても同じようなことが言えるのかもしれない。かつて名翻訳家とうたわれた故中野好夫氏が「難しい翻訳論なんぞに先走りするよりは、その間に訳出せんとする外国語をマスターすることである」(『文学』1955年9月号「翻訳ノート」)とおっしゃった気持ちはよくわかる。翻訳論といい、翻訳技術の指導者といい、ほんとうのところは翻訳の達人にしか理解できないのだから。
この本の巻末には日本語表記の詳しいリストがあったりして、先生が訳出する日本語もおろそかにしていなかったことがわかります。先生が翻訳で大切にしていたのは「想像力」でした。
一見単純な英語を甘く見て穴に落ちてしまうのは、たいがいは「想像力」を働かせていないからである。つい惰性に陥りがちな私は、いつも「自分の頭を錆びついた古い機械翻訳にしてはならない。絶えず想像力を働かせよ」と自分に言い聞かせている。それは翻訳志望者にとっても大事な戒めであろう。
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