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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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180年間続く戦争

 
先ほどの動画の下りで、“Hey, Watson, I think you’ve been in Afghanistan.”と語っていた部分はシャーロックホームズを読んだことのない人は何のことだか分からないかもしれませんね。

And over time I build up that expertise that will allow me to look at you and in one second say, “Hey, Watson, I think you’ve been in Afghanistan.” And it seems like it’s completely just out of the blue, oh, my God, how did he know that? But then if you go back, you’ll see that this is not intuition in the sense of just “I knew it.” It’s intuition in the sense of expertise, in the sense of judgment that has been honed over years and years of practice.
(徐々にこの専門能力が身についていき、あなたを見れば一瞬で「ワトソンさん、あなたはアフガニスタンにいましたね」と言えるようになるのです。全く唐突な事に思えるので、一体どうして、そんなことを知っているのだとなるのですが、後で検証してみると、単なる「そう思っていたよ」という意味の直感ではないことが分かります。この直感は専門技能によるもので、何年もの実践を経て磨かれてきた判断力によるものなのです)


このくだりは第一作『A Study in Scarlet(緋色の研究)』でホームズとワトソンが初めて会った時の下りで、“How are you? You have been in Afghanistan, I perceive.” 「はじめまして。見たところ、あなたはアフガニスタンに行ったことがありますね」

英語版はTHE COMPLETESHERLOCK HOLMESから。

日本語版はコンプリート・シャーロックホームズから。

“Dr. Watson, Mr. Sherlock Holmes,” said Stamford, introducing us.
「ワトソン博士だ。シャーロックホームズ氏だ」スタンフォードは私たちを紹介しながら言った。

“How are you?” he said cordially, gripping my hand with a strength for which [18] I should hardly have given him credit. “You have been in Afghanistan, I perceive.”
「はじめまして」彼は、常識を越えた握力で私の手を握りしめながら、心を込めてこう言った。「見たところ、あなたはアフガニスタンに行ったことがありますね」

“How on earth did you know that?” I asked in astonishment.
「いったいどうやって分かったんですか?」私は驚いて尋ねた。

“Never mind,” said he, chuckling to himself. “The question now is about haemoglobin. No doubt you see the significance of this discovery of mine?”
「お気になさらずに」彼は一人含み笑いをして言った。「今重要なのは、ヘモグロビンに関してです。僕の発見の重要性はもちろんお分かりいただけますよね?」


この本の書き出しは以下のように始まるので、ワトソンがアフガニスタンで軍医として従軍したことは読者は分かるのですが、ホームズは全くの初対面だったのでワトソンは驚いていたのです。

IN THE YEAR 1878 I took my degree of Doctor of Medicine of the University of London, and proceeded to Netley to go through the course prescribed for surgeons in the Army. Having completed my studies there, I was duly attached to the Fifth Northumberland Fusiliers as assistant surgeon. The regiment was stationed in India at the time, and before I could join it, the second Afghan war had broken out. On landing at Bombay, I learned that my corps had advanced through the passes, and was already deep in the enemy’s country. I followed, however, with many other officers who were in the same situation as myself, and succeeded in reaching Candahar in safety, where I found my regiment, and at once entered upon my new duties.

1878年、私はロンドン大学で医学博士号を取得し、続いてネットレイ軍病院で軍医となるための所定研修を受講した。この研修が終わると、すぐに軍医補として第五ノーサンバーランド・フィージリア連隊に配属された。すでに第二アフガン戦争が勃発していたため、連隊はインドに駐留していた。ボンベイに上陸してみると、連隊はいくつもの峠を越えて進軍しており、すでに敵地深くにいることが分かった。やむをえず、私は同じ状況下にある大勢の将校と共にその後を追った。そして、なんとかカンダハールまで無事に到着することができた。そこで私は自分の連隊を見つけ、ただちに新しい任務につくこととなった。

先ほどの動画でHe’s able to attain what he does because he’s become an expert of sorts at observing.(ホームズがあのようなになれたのは観察することにおいて熟達したからでしょう)と語っていましたが、その観察の鋭さを描いている点は以下の部分です。

“But do you mean to say,” I said, “that without leaving your room you can unravel some knot which other men can make nothing of, although they have seen every detail for themselves?”
「しかし君は本気で言っているのか」私は言った。「自分の部屋を離れることなく、君は他の人間が手におえなかった謎を解決できるのか。相手は自分の目で詳細をくまなく見てきているんだぞ?」

“Quite so. I have a kind of intuition that way. Now and again a case turns up which is a little more complex. Then I have to bustle about and see things with my own eyes. You see I have a lot of special knowledge which I apply to the problem, and which facilitates matters wonderfully. Those rules of deduction laid down in that article which aroused your scorn are invaluable to me in practical work. Observation with me is second nature. You appeared to be surprised when I told you, on our first meeting, that you had come from Afghanistan.”
「もちろん解ける。僕はその方面ではひらめきのようなものがあるのさ。時折、もう少し複雑な事件が持ち込まれることもある。その時は、僕も駆け回って自分の目で状況を確認しなければならない。君は僕が多量に特殊な知識を持っているのを知っているだろう。僕はそれを事件に適用しているが、そのおかげで素晴らしく事が容易になっている。その記事の中に示した推理の手続きを君はあざ笑ったが、僕の実務には計り知れない価値がある。観察は僕にとっては第二の天性だ。君と初めて会った時、僕が君はアフガニスタンから戻ってきたと言ったら、君は驚いたようだった」

“You were told, no doubt.”
「きっとそう聞いていたんだろう」

“Nothing of the sort. I knew you came from Afghanistan. From long habit the train of thoughts ran so swiftly through my mind that I arrived at the conclusion without being conscious of intermediate steps. There were such steps, however. The train of reasoning ran, ‘Here is a gentleman of a medical type, but with the air of a military man. Clearly an army doctor, then. He has just come from the tropics, for his face is dark, and that is not the natural tint of his skin, for his wrists are fair. He has undergone hardship and sickness, as his haggard face says clearly. His left arm has been injured. He holds it in a stiff and unnatural manner. Where in the tropics could an English army doctor have seen much hardship and got his arm wounded? Clearly in Afghanistan.’ The whole train of thought did not occupy a second. I then remarked that you came from Afghanistan, and you were astonished.”

「とんでもない。僕は自分で君がアフガニスタンから来たと分かった。長い間の習慣になっているから、僕の心に浮かぶ思考の連鎖は非常に素早い。僕は中間の段階を意識することなく結論を導き出している。しかし、それでも段階は踏んでいるのだ。推理の連鎖はこうだ。『医者っぽいタイプの紳士がいる。しかし軍人のような雰囲気がある。ということは、明らかに軍医だ。彼は熱帯から来たばかりだ。彼の顔は黒い。しかしそれは彼の肌の自然の色合いではない。手首は色白のためだ。彼は苦難と病気を体験している。彼のやつれた顔が明白に語っている。彼の左腕は傷ついている。彼はこわばった不自然な方法で固定している。熱帯のどの場所が、ある英国軍医に、こんな苦難と腕の傷を与えうるか。明らかにアフガニスタンだ』全体の思考の連鎖は一秒とかからなかった。その後、僕は君がアフガニスタンから来たと言った。そして君は驚いた」

“It is simple enough as you explain it,” I said, smiling. “You remind me of Edgar Allan Poe’s Dupin. I had no idea that such individuals did exist outside of stories.”
「説明されると単純なことだな」私は笑いながら言った。「君を見ているとエドガー・アラン・ポー*のデュパン*を連想するよ。小説以外にあんな人間がいるとは思ってもみなかった」

『シャーロック』というドラマの評判が高いようですが、現代を舞台にした設定でもワトソンはアフガニスタンに従軍していることになっていますね。この設定に違和感を感じないのは、今でもアフガンで戦争が続いているからでしょう。



(ウィキペディア)
アフガン戦争(英語:Afghan Wars)は、近現代にアフガニスタンを舞台に起こった諸戦争のうち、特に19世紀から20世紀初頭に行われたアフガニスタンとイギリスの間の三次にわたる戦争のこと。アングロ・アフガン戦争ともいう。

第一次(1838年 - 1842年)と第二次(1878年 - 1881年)のアフガン戦争は19世紀に繰り広げられたグレート・ゲームの一環として、中央アジアに進出したロシア帝国がインドへと野心を伸ばしてくることを警戒したイギリスが、先手を打ってアフガニスタンを勢力圏に収めるために行った軍事行動であり、第二次アフガン戦争によってイギリスはアフガニスタンを保護国とした。アフガン戦争は狭義にはこの二度の戦争を指す。第三次アフガン戦争(1919年)は第一次世界大戦直後に行われた戦争で、アフガニスタンがイギリス領インド帝国に攻め込んで独立を認めさせた戦争である。

原作のワトソンが従軍したのは第二次アフガン戦争ということになっていますが、第一次から考えるともう180年間もアフガンは戦争の舞台になっているのですね。
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