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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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リアルTOEIC 表現の意図を問う問題

 


English Journalの3月号に掲載されていたアンジェリナジョリーの国連安保理でのスピーチで問題です。「表現の意図」とは少し違いますが文脈に合わせた表現の必要性を考えられると思います。

(問題)冒頭のMr. Presidentの意味に最も近いものを選んでください。
(A) 大統領
(B) 社長
(C) 議長
(D) 総長

Mr President, Foreign Ministers, Your Excellencies, Ladies and Gentlemen: it is an honor to brief the Council.
I thank His Excellency the Foreign Minister of Jordan, the High Commissioner for Refugees, and my colleagues from OCHA, and the World Food Programme.

(ヒント)
(1) 動画20秒あたりの画像
Jordan.png


(2) ヨルダンの英語公式表記はHashemite Kingdom of Jordan

(3) 国連安保理の説明

国連安全保障理事会(安保理)とは
安保理の会合には一定の会期はなく、必要に応じて随時開催されます。原則として公開で行われる公式会合(一般に傍聴可能)の他に非公開の非公式協議が頻繁に開催されます。また、会合における議長は英語のアルファベット順に月番で務め、2010年4月には日本が議長国を務めました。


(答え)
議長

English Journalの訳が下記の通り「大統領閣下」となっていますが間違いです。そもそもヒントにあるようにヨルダンは立憲君主国ですから大統領ではなく国王と首相しかいません。ここではヨルダンが国連安保理の議長国を務めていたからでしょう。

(English Journalでの訳)
大統領閣下、外相の皆さま、大使の皆さま、ご列席の皆さま、当理事会で説明をさせていただき光栄です。ヨルダンの外務大臣閣下、難民高等弁務官、国連人道問題調整事務所の同僚たち、国連世界食糧計画に感謝します。

辞書でMr. Presidentとあると以下のように載っていることが多いのでついついそのように訳してしまうのもわかります。もちろんMr. President of the Security Councilと言ってくれたら誤解はなかったのに違いありませんが、このような理事会や総会などでpresidentとあれば「議長」となることは基本的なこととして知っておくといいのではないでしょうか。国際会議のような場には決まった進め方と決まり文句がありますから。

(ウィズダム)
“Mr. President.”
(呼びかけで)大統領(閣下).


話題になった国連総会でのエマワトソンのスピーチではPresident of the General Assemblyを「国連総会議長閣下」と国連広報が訳していますね。



安倍首相が国連総会でのスピーチも見ています。こういうスピーチに目を通しておいたら「大統領閣下」だとおかしいのではという勘が働きます。幅広い題材に親しんでおくメリットにはこのような素通りしてしまう間違いを防ぐことができるということもあるのです。

第70回国連総会における安倍総理大臣一般討論演説
平成27年9月29日


議長とご列席のみなさま,今年で設立70年を迎える国連とは,絶望的現実を前にして,容易に絶望しない人々の集団でした。だからこそ風雪に耐え,今日を迎えたのではありませんか。

Mr. President, Ladies and Gentlemen,
The United Nations that this year commemorates the 70th anniversary of its founding is an assemblage of people who do not easily despair even in the face of desperate circumstances. Is that not precisely how the U.N. has withstood adversity and arrive at the present day?


ただこれも気をつけたいのはアメリカの場合、連邦議会の議長はSpeakerと呼ぶということです。

米国連邦議会上下両院合同会議における安倍総理大臣演説
「希望の同盟へ」
(2015年4月29日(米国東部時間))


議長、副大統領、上院議員、下院議員の皆様、ゲストと、すべての皆様、
 1957年6月、日本の総理大臣としてこの演台に立った私の祖父、岸信介は、次のように述べて演説を始めました。
 「日本が、世界の自由主義国と提携しているのも、民主主義の原則と理想を確信しているからであります」。
 以来58年、このたびは上下両院合同会議に日本国総理として初めてお話する機会を与えられましたことを、光栄に存じます。お招きに、感謝申し上げます。

Mr. Speaker, Mr. Vice President, distinguished members of the Senate and the House, distinguished guests, ladies and gentlemen,
Back in June, 1957, Nobusuke Kishi, my grandfather, standing right here, as Prime Minister of Japan, began his address, by saying, and I quote,?P
"It is because of our strong belief in democratic principles and ideals that Japan associates herself with the free nations of the world."
58 years have passed. Today, I am honored to stand here as the first Japanese Prime Minister ever to address your joint meeting. I extend my heartfelt gratitude to you for inviting me.


今回の指摘は重箱の隅に思えるかもしれませんが、基礎を固めたら幅広く学んでいくことが大事になってくると思います。特に「資格しか興味がない」「本を読まなくて何が悪い」「TOEICを愛している(TOEIC以外はやらないよ)」というような態度の人は、このような間違いを犯しやすいですし、しかもタチの悪いことに犯したことも気づかないし、犯した間違いの恥ずかしさにも気づかないことが起こりえます。英語できるできないの話でなくても、異文化でのトラブルってこういう所の誤解が積み重なって起こることがありますので、こういう感受性を高めていきたいです。
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