Posted at 2018.02.07 Category : 未分類
新井紀子先生の新刊『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』を読みました。東ロボのプロジェクトをある程度追いかけていた人にはおなじみの主張ですがより詳細に知ることができます。
AIとは何か、どのように対処していくべきかを本質的なレベルで語ってくれていますが、東ロボのプロジェクトのおかげで抽象的にならずに理解できるようになっています。この方の主張をYutaなりにまとめる以下になるでしょうか。
AIとは確率と統計に過ぎず、意味を理解している訳ではない。
AIにはできない意味を理解することを、人間でもできない人が多い。
AI社会が到来する中、読解力の養成が急務である。
新井先生の危機感からするとまずははじめの第一歩として「読解力の養成」への流れを作りたいのかもしれませんが、せっかちなYutaとしては以下のように考えたくなるのです。
AIとは確率と統計に過ぎず、意味を理解している訳ではない。
AIに意味を付与するのは人間である。
どのようなAI社会を構築していくべきか。
もちろん新井先生にそのような関心がないわけではありません。このTEDの動画を本でもあげていましたし、Twitterでもこのような問題への関心を示しています。
1月22日
私は、今AI界隈で最も求められている人材は、法哲学者と倫理学者だと思っている。なぜなら統計的AI解決が、近代法が基盤としてきた、意志・責任・所有の全部を揺らがせるからだ。詳細は「ロボットと生きる社会」でほぼすべてお話した
1月22日
が、そこで求められる人材は、AIについてリアルに、つまりどのように設計され、どのように作られ、どのように提供されているかを正しく認識している人材であってほしい、というかそうでなければならない。なぜなら、その人がいなければ大変なことになるから。
1月22日
そのような危機意識、渇望感があまりに強いため、本日の一連のツイートには言葉が過ぎた点もあったかもしれない。が、私が読んだものは、やはり残念の二文字でしか表現のしようがない。でも、そこでやめるべきだった。
1月23日
ITさらにAIは人々の経済だけでなく感情も隅々まで管理し、分別し、搾取することを当然の合理的目標としています。搾取する側、人をバラバラにする側は、そこに使う技術と効果と合理性を熟知しています。たとえば、ティールやザッカーバーグ。だからこそ、アメリカの大半の冨を独占できる。
1月23日
それと戦うには何が必要でしょうか?問題意識でしょうか?いいえ違います。
戦うための理論と方法論です。その理論構築のためには、まず戦う相手の技術及びその裏で運用されている数学、そしてそのエラーの性質等を熟知するだけでなく、それに対するひりひりするようなリアルな危機意識が欠かせません
1月23日
その「冷静かつ正確な問題把握(技術把握)」と「ひりひりするような危機感」こそが、今、哲学者と倫理学者に求められる資質である、と私は思います。
以上です。
ちょうどマイクロソフトがこれからのAI社会に向けて電子書籍を出しました。Yutaが興味があるのはこの方向性です。
Jan 17, 2018 | Brad Smith, President and Chief Legal Officer, and Harry Shum, Executive Vice President of Microsoft AI and Research Group
How do we ensure that AI is designed and used responsibly? How do we establish ethical principles to protect people? How should we govern its use? And how will AI impact employment and jobs?
AIが責任ある形で作られ、使用されるためにはどうすればよいでしょうか?人々を守るための倫理基準をどのように確立すればよいのでしょうか?AIの利用基準をどう統制すべきでしょうか?そして、AIは雇用と職業にどのような影響を与えるのでしょうか?
ここでマイクロソフトが人文科学の必要性を訴えたことが少し話題になりましたが、これは「AIに意味を付与するのは人間である」という文脈で捉えるべきだと思います。
All of this leads us to what may be one of the most important conclusions of all. Skilling-up for an AI-powered world involves more than science, technology, engineering and math. As computers behave more like humans, the social sciences and humanities will become even more important. Languages, art, history, economics, ethics, philosophy, psychology and human development courses can teach critical, philosophical and ethics-based skills that will be instrumental in the development and management of AI solutions. If AI is to reach its potential in serving humans, then every engineer will need to learn more about the liberal arts and every liberal arts major will need to learn more about engineering.
これらの点は最も重要な結論へと結びつきます。それは、AIによる世界のためのスキルの獲得には、科学、テクノロジ、工学、数学以外の要素も必要ということです。コンピューターがより人間に近くなるにつれ、社会科学や人類学が今まで以上に重要になるでしょう。言語学、文芸、歴史、経済学、倫理、哲学、心理学、人格形成などの科目によって、AIソリューションの開発と管理で重要になる哲学的・倫理的なスキルを教育することができます。AIが人類に最大限貢献できるようにするためには、すべてのエンジニアが一般教養をより深く学び、すべての一般教養学部の学生がより深く工学を学ぶことが必要になります。
別に新井先生の著書やプロジェクトの意義に疑問を呈したいわけではなく、Yutaの興味がどこにあるのかという雑感でした。
スポンサーサイト
Tracback
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)