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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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騙された、というのは言い訳にはならない

 


第二次世界大戦を描いたブラッドランドやブラックアースで有名なティモシー・シュナイダー教授のTHE ROAD TO UNFREEDOMという新刊が出ました。

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By Margaret MacMillan
May 9, 2018

前作の『暴政』のプロローグでは前回紹介したHistory repeats itselfを意識した言葉で始まります。この本の翻訳には特設サイトがあるので概要がわかります。こちらは薄い本でコスパが悪いと思ってしまい買うなら今回の本かなと思っていますが。。。

History does not repeat, but it does instruct.

「歴史は繰り返す」と言われますが、そんなことはありません。けれど、教訓を与えてくれるのは確かです。

原文ではHistory does not repeatですが、翻訳では「「歴史は繰り返す」と言われますが、そんなことはありません」として、History repeats itselfというフレーズが下敷きとしてあることを明示して訳しています。翻訳したのは大学教授の方ですので、大学生の知識レベルに合わせて補って訳しているのかもしれません。語学教材では原文が透けるように訳すのが良いと考える人もいるみたいですが、伝え方には色々あることも念頭に置きたいです。

さて、この本は以下の言葉が最初に載っています。上層部が不甲斐ない現在の日本でも他人事ではないです。

政治においては、騙された、というのは言い訳にはならない。
――レシェク・コワコフスキ

In politics, being deceived is no excuse.
-Leszek Kolakowski


この言葉は戦後すぐの伊丹監督の文章とも響きます。

伊丹万作

 さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。私の知つている範囲ではおれがだましたのだといつた人間はまだ一人もいない。ここらあたりから、もうぼつぼつわからなくなつてくる。多くの人はだましたものとだまされたものとの区別は、はつきりしていると思つているようであるが、それが実は錯覚らしいのである。たとえば、民間のものは軍や官にだまされたと思つているが、軍や官の中へはいればみな上のほうをさして、上からだまされたというだろう。上のほうへ行けば、さらにもつと上のほうからだまされたというにきまつている。すると、最後にはたつた一人か二人の人間が残る勘定になるが、いくら何でも、わずか一人や二人の智慧で一億の人間がだませるわけのものではない。
 すなわち、だましていた人間の数は、一般に考えられているよりもはるかに多かつたにちがいないのである。しかもそれは、「だまし」の専門家と「だまされ」の専門家とに劃然と分れていたわけではなく、いま、一人の人間がだれかにだまされると、次の瞬間には、もうその男が別のだれかをつかまえてだますというようなことを際限なくくりかえしていたので、つまり日本人全体が夢中になつて互にだましたりだまされたりしていたのだろうと思う。

(中略)

だまされたということは、不正者による被害を意味するが、しかしだまされたものは正しいとは、古来いかなる辞書にも決して書いてはないのである。だまされたとさえいえば、一切の責任から解放され、無条件で正義派になれるように勘ちがいしている人は、もう一度よく顔を洗い直さなければならぬ。

(中略)

また、もう一つ別の見方から考えると、いくらだますものがいてもだれ一人だまされるものがなかつたとしたら今度のような戦争は成り立たなかつたにちがいないのである。
 つまりだますものだけでは戦争は起らない。だますものとだまされるものとがそろわなければ戦争は起らないということになると、戦争の責任もまた(たとえ軽重の差はあるにしても)当然両方にあるものと考えるほかはないのである。
 そしてだまされたものの罪は、ただ単にだまされたという事実そのものの中にあるのではなく、あんなにも造作なくだまされるほど批判力を失い、思考力を失い、信念を失い、家畜的な盲従に自己の一切をゆだねるようになつてしまつていた国民全体の文化的無気力、無自覚、無反省、無責任などが悪の本体なのである。

このあたりの表現を英語でいうとどうなるか、この文章を紹介している洋書があったのでそこから抜粋します。

 さて、多くの人が、今度の戦争でだまされていたという。みながみな口を揃えてだまされていたという。私の知つている範囲ではおれがだましたのだといつた人間はまだ一人もいない。
everybody claims he or she was deceived during the Second World War. As far as I know, there isn’t anybody who has admitted to deceiving others yet.

だまされたということは、不正者による被害を意味するが、しかしだまされたものは正しいとは、古来いかなる辞書にも決して書いてはないのである。
To be deceived is equal to suffer from others’ wrongdoings; however, it has never been written in any dictionary that those who are deceived are right.

これらの言葉はもっともなことですが、最近のニュースを見る限り組織的な流れに反旗をひるがえすのはいつの時代でも大変だと思います。
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