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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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翻訳つながりで

 


今月のEnglish Journalはコメディー英語や日本文学など面白い切り口で楽しく読めますね。個人的には青谷優子さんによるジュリエットWカーペンターさんへのインタビューは翻訳についての貴重なお話を聞くことができました。読み手に合わせて必要に応じて翻訳を付け足したり、本文を削ったりする必要があるというのは英文和訳的な英語学習の態度では抜け落ちてしまいやすい態度ですよね。

詳しい内容は実際に聞いていただくとして、少し前にロンドンで見ることのできた演劇もTranslationsだったので取り上げてみました。ブライアン・フリールというアイルランドの著名作家による1980年代の古典とも呼べるものみたいですが、Yutaは時間が空いたからチケットを取っただけです。。。

Olivier, London
Brian Friel’s play about the infinite mysteries of language is richly realised in a meticulous Ian Rickson production, with excellent performances from a strong cast
Michael Billington  Thu 31 May 2018 22.00 BST

Brian Friel’s 1980 play has long been regarded as a modern classic. In Ian Rickson’s flawless production, it seems to expand to fill the vast space of the Olivier. Friel’s multilayered study of what Colm Tóibín calls “the clash between language and culture” is set against the epic breadth of the mist-wreathed Donegal hills, beautifully lit by Neil Austin and punctuated, in Ian Dickinson’s sound design, by the sound of steadfast Irish rain dripping into a bucket.

What strikes one is Friel’s ability to find complex meanings in a simple story and to capture Ireland, in 1833, at a moment of historical transition. A rural hedge-school, where classes are conducted in Irish, is to be replaced by a national education system in which English is the official language. At the same time, British soldiers are engaged in an ordnance survey involving the anglicisation of Irish place names. Friel explores these radical changes through their impact on individuals: in particular, Hugh, the local teacher steeped in Latin and Greek; his bilingual son, Owen, who acts as interpreter for the occupying forces; and an English lieutenant, Yolland, who readily succumbs to the romance of Ireland.



イギリスがアイルランドを植民地にする過程でアイルランド語から英語に変わることを強制される状況があるわけですが、単純に上からの強制だけとは言えない部分もあります。英語は将来を約束する言語として積極的に学ばれるものでもあったのです。

It is tempting to see the play as an attack on insidious colonialism, but Friel’s real subject is the infinite mystery of language. For the scholarly Hugh, the Irish tongue – full of fantasy and self-deception – is “our response to mud cabins and a diet of potatoes”. For his bright, young protege, Maire, who yearns to escape to the US, English is the language of the future. Yet in the play’s most famous scene – where Maire and the English lieutenant express their love in their respective tongues – we see the power of passion to transcend verbal signals.

アイルランドと言えば、ジャガイモ飢饉、ジェイムス・ジョイス、U2、クランベリーズぐらいの知識がなかいこともあり、思った以上に重いテーマにショックを受けました。アイルランドのそんな歴史も取り上げてくれる『英語という選択』という本を読んで見るとアイルランドの複雑な状況も多少理解できました。

長い歴史があり書記法と文学の伝統もある一国の言語が英語に取って替わられる。最初はゆっくりと、あるときからは一気に。それは社会経済的要因と個々人の選択の結果として起きたことだった。アイルランドにおける言語交替はどのように進み、どんなことばの特徴を生んだのか。人々は今、ことばに対してどんな思いを抱いているのか。
◎推薦のことば……鳥飼玖美子

「国語」をやめて「英語」を公用語にする。その結果、どのようなことが起きるか。これは近未来の日本の話ではない。アイルランドが実際に体験したことである。
植民地支配の歴史から英語を「公用語」として使うようになった国で、「自分たちのことば」であるアイルランド語が話せなくなった人びと。そのような「自分たちのことば」を再び国語にしようと、アイルランド政府は「アイルランド語が国語であり、第一公用語」、英語は「第二公用語」であると憲法で定め、二言語使用の国家を目指している。
そのようなアイルランドの言語を巡る歴史と社会の現実をつぶさに検証している本書を読むと、「英語」を第二公用語とする提案がなされた過去を持ち、昨今は「グローバル人材育成」政策を推進して日本人の英語力を高めることを教育の中心的課題とし、大学においては英語による専門講義を増やすなど英語使用を主軸にしようとしている日本の現状が否応なく脳裏に浮かぶ。特に背筋が寒くなるのは、「我が子には英語を」という親としての素朴な気持ちが、言語を「価値評価」して「順位づけ」することに繋がり、このような「ありふれた社会的行為」が言語交替を引き起こしたアイルランドの実態である。
日本語という母語を奪われた経験のない恵まれた環境が日本にもたらしたのは、言語に対する畏敬の念の悲しいまでの欠如ではないか。日本人にとっての「自分たちのことば」である日本語の将来を考える為にこそ、本書を多くの読者に熟読していただきたい。

日本では母語の日本語をまずしっかりしないといけないと言われますが、現在のアイルランドでは英語が日常的な言語になっていて母語のアイルランド語は学校で習うだけでうまく使えない状況があるとか。日本だって経済がさらに弱くなり、将来的に英語ができないと就職できないという流れになっていけばアイルランドのような状況になる可能性もあるのではとこの本では語っています。一方で、アイルランドの英語は、アイルランド語の痕跡を残した語彙や表現もあるので、単純な構図ではないようです。
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