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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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憎しみに抗って

 
ドイツ人ジャーナリストのカロリン・エムケが書いた『憎しみに抗って』を読みました。

人種主義、ファナティズム、民主主義への敵意――ますます分極化する社会で、集団的な憎しみが高まっている。なぜ憎しみを公然と言うことが、普通のことになったのだろう。多くの難民を受け入れてきたドイツでも、それは例外ではない。2016年には、難民の乗ったバスを群集が取り囲んで罵声を浴びせ、立ち往生させる事件が起こった。それまでのドイツではありえなかったこの事件は、社会に潜む亀裂をあらわにした。自分たちの「基準」にあてはまらない、立場の弱い者への嫌悪、そうした者たちを攻撃してもかまわないという了解。この憎しみの奔流に飲み込まれないためには、どうしたらいいだろう。憎しみは、何もないところからは生まれない。いま大切なのは、憎しみの歴史に新たなページを加えることではなく、基準から外れたとしても幸せに生きていく可能性をつくることではないだろうか。著者カロリン・エムケはドイツのジャーナリスト。自分とは「違う」存在を作りだして攻撃するという、世界的に蔓延する感情にまっすぐに向き合った本書は、危機に揺れるドイツでベストセラーになった、いまの世界を読むための必読書。

彼女が呼びかけるのは冷静さ。なかなかできることではありませんが。。。

憎しみに立ち向かうただひとつの方法は、自分を心のなかに取り入れてほしいという憎しみ自身からの誘いをはねつけることだ。憎しみに憎しみで対抗することは、自身を変えることであり、憎む者たちがなってほしいと願う人間に近づくことだ。憎しみに立ち向かうただひとつの方法は、憎む者たちに欠けている姿勢をとることだ。つまり、正確に観察すること、差異を明確にし、自分を疑うのを決してやめないこと。こういった姿勢によって、憎しみは次第にひとつひとつの要素に解体されて行く。そして、一過性の感情をイデオロギー的前提とは分けて考えること、憎しみがそれぞれの歴史的、地域的、文化的文脈のなかでどのように生まれ、育っていくのかを観察することが可能になる。

*******

憎しみと暴力をただ断罪するのではなく、その機能の仕方を見極めることは、どこにほかの道があったか、どこで別の決断が下せたか、どこで介入し、どこで降りることができたがという可能性を明らかにすることでもある。憎しみと暴力をただ拒絶するのみでなく、憎しみがどのような戦略のもと、どのような比喩やたとえで形成され、拡散していくのかを見極めれば、それらの言説モデルのどこを突き崩し、解体すればいいのかを知ることもできる

代表引退でニュースになったドイツ代表MFメスト・エジルの件も取り上げられていました。2年前も色々言われていたようです。ムスリムなのでメッカに巡礼に行った際にも相当批判されたようです。

Just days after his divisive comments on Jerome Boateng, Alexander Gauland has claimed the English and German national teams haven't been "German or English in the classical sense for a long time."
Date 03.06.2016

Star midfielder Mesut Özil, whose family came from Turkey, earned special notice from Gauland for going on a Muslim pilgrimage to Mecca. He said though it might be acceptable for soccer players, civil servants, teachers, politicians and other important decision makers should not go on a pilgrimage. "Does someone who goes to Mecca fit into German democracy?" Gauland asked.

However, the vast majority of Germans reject Gauland's assessment of Boateng, with 82 percent telling pollster Emnid they would gladly have the Bayern Munich defender as their neighbor. Even a whopping 87 percent of AfD supporters said they would like to have him move in next door.

本でも指摘されていたことですが、ムスリムの実践が徹底していないとも批判されたようで、彼の存在そのものが気に食わないことがわかります。

Leader of far-right 'Alternative for Germany' party attacks Turkish-German player for Mecca pilgrimage, not singing anthem
By AFP 5 June 2016, 1:17 am 

She also accused him of hypocrisy after a picture on social media last month showed Ozil, who hails from Germany’s Turkish community, posing at the Islamic holy site of Mecca.

In a nod to Ozil’s lifestyle, Petry said: “He doesn’t live according to the rules of sharia.”

“At any rate, the women he hangs around with don’t wear the veil,” she said. “But you might want to ask Ozil if he wanted to send a political message.”

この件も踏まえてエジルの引退声明を読むと、I am German when we win, but I am an immigrant when we lose.という言葉もより重いものとなります。この言葉の後で、生まれも育ちもドイツなのにどうしてGerman-Turkishと呼ばれなくてはいけないのかと続いています。この点もずっと不満であったことは本にありました。

The Arsenal star has remarkably turned his back on his country at the age of 29 citing the "racism and disrespect" he suffered
ByMark Jones
07:25, 24 JUL 2018

In the eyes of Grindel and his supporters, I am German when we win, but I am an immigrant when we lose. This is because despite paying taxes in Germany, donating facilities to German schools and winning the World Cup with Germany in 2014, I am still not accepted into society. I am treated as being 'different'. I received the 'Bambi Award' in 2010 as an example of successful integration to German society, I received a 'Silver Laurel Leaf' in 2014 from the Federal Republic of Germany, and I was a ’German Football Ambassador’ in 2015. But clearly, I am not German.. .?

Are there criteria for being fully German that I do not fit? My friend Lukas Podolski and Miroslav Klose are never referred to as German-Polish, so why am I German-Turkish? Is it because it is Turkey? Is it because I'm a Muslim? I think here lays an important issue. By being referred to as German-Turkish, it is already distinguishing people who have family from more than one country. I was born and educated in Germany, so why don't people accept that I am German?

代表引退の決断は性急な行動に思えたのですが、色々積もり積もっての彼の行動だったのだとようやくわかった気がします。

これと同じように本ではトランスジェンダーの人の生きづらさについて書かれていました。杉田ナントカを頭ごなしに批判して自分は違うと主張することはYutaもしましたが、彼らの生きづらさを理解しようとできていたか、「多様性は大切だ」と主張するだけでは不十分で、やはりこのような問題をより詳しく知っていくきっかけにしないといけないのでしょう。
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