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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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文民保護

 


実は先週 A Private Warを見る機会があったのですが、これも感想は後ほど(焦らすわけではなく、なんかまとめるのに時間がかかるので。。。)マシュー・ハイネマン監督はドキュメンタリー『ラッカは静かに虐殺されている』を撮っていた人なんですね。英語版のタイトルがCity of Ghostsだったので気づかなかったです。。。

Marie Colvinはスリランカで攻撃を受けて片目の視力を失うんですが、予告編にある襲撃場面で“I’m not armed! Journalist.”と自ら訴えて身を守ろうとしています。武装集団にそんなことをしても無駄なのにと彼女の行動は不可解だったのですが、文民保護規定というのがあったのですね。次のTIMEの記事で知りました。

By HAROLD EVANS October 31, 2018

Marie Colvin was marked to die. She was targeted by dictator Bashar al-Assad as surely as the shadowy powers in the royal court of Saudi Arabia plotted the murder and dismemberment of the critic Jamal Khashoggi. He was dead from the moment he walked into the Saudi Consulate in Istanbul on October 2 to collect a wedding license. She was dead from the moment al-Assad’s artillery picked up the signal of her satellite broadcast in February 2012.

She had hunched her way two-and-a-half miles through a drainage tunnel only four-and-a-half feet high to reach the besieged remnants of Homs, where 28,000 starving families with no electricity sheltered from daily shelling. It was her second visit in a week, her first report bannered by The Sunday Times (U.K.). Assad was more straightforward about her death than the Saudi’s absurd concoctions. “It’s war and she came illegally to Syria. She worked with terrorists, and because she came illegally, she’s been responsible for everything that befalls her.”

この記事では、無責任に情報を垂れ流すソーシャルメディアや対立を煽るトランプ政権を批判するだけでなく、ジャーナリストが標的になっている世界の状況を憂いています。その締めコメントで次のような条約があるのを知りました。

Foreign correspondents reporting armed conflicts, like Marie Colvin and her photographer Paul Conroy, who was injured in the attack, are targeted for murder, detained or kidnapped. International humanitarian law prescribes protections in Protocol 77 to the Geneva Convention. Some 174 nations have signed and ratified. America has signed but is one of only five yet to ratify.

ジャーナリストは文民として保護されるべきと規定されているのですが、もちろんこの記事はそれが全く守られていない状況を問題視しています。アメリカだけでなく日本も署名はしても国会での批准はまだのようです。。。



正式な名称は1949年8月12日のジュネーヴ諸条約の国際的な武力紛争の犠牲者の保護に関する追加議定書(議定書 I)だそうで、TIMEではprotocol 77とありますが、報道関係者の保護措置はProtocol 79でした。紙のTIME11月19日号ではしっかり79に直っていました(苦笑)

Article 79 -- Measures of protection for journalists
1. Journalists engaged in dangerous professional missions in areas of armed conflict shall be considered as civilians within the meaning of Article 50, paragraph 1.
第七十九条 報道関係者のための保護措置
1 武力紛争の行われている地域において職業上の危険な任務に従事する報道関係者は、第五十条1に規定する文民と認められる。

2. They shall be protected as such under the Conventions and this Protocol, provided that they take no action adversely affecting their status as civilians, and without prejudice to the right of war correspondents accredited to the armed forces to the status provided for in Article 4 A (4) of the Third Convention.
2 報道関係者は、諸条約及びこの議定書に基づき文民として保護される。ただし、その保護は、文民としての地位に不利な影響を及ぼす活動を行わないことを条件とするものとし、また、軍隊の認可を受けている従軍記者が第三条約第四条A(4)に規定する地位を与えられる権利を害するものではない。

3. They may obtain an identity card similar to the model in Annex II of this Protocol. This card, which shall be issued by the government of the State of which the journalist is a national or in whose territory he resides or in which the news medium employing him is located, shall attest to his status as a journalist.
3 報道関係者は、この議定書の附属書Ⅱのひな型と同様の身分証明書を取得することができる。この身分証明書は、報道関係者がその国籍を有し若しくはその領域に居住する国又は雇用される報道機関の所在する国の政府によって発行され、報道関係者としての地位を証明する。

この51条にはThe civilian population and individual civilians shall enjoy general protection against dangers arising from military operations. (文民たる住民及び個々の文民は、軍事行動から生ずる危険からの一般的保護を受ける。)と文民は保護されることとなっているんですね。

ですから彼女の行為は、ジャーナリストだから攻撃の対象ではないと必死のアピールだったわけです。

もちろん、テロリストが攻撃対象になった今、文民とテロリストの区別がつくわけでなく、文民もジャーナリストも等しく攻撃対象になっているのが現状のようです。シリアでは電話の使用で彼女の位置が割り出されて攻撃を受けたのではとされていました。sat phoneの部分は聞き取りに苦労しました。。。

冒頭
If the government catches you, they'll kill you.

1分38秒あたり
Paul Conroy: If you use the sat phone those drones will know where we are.
Marie Colvin: We don’t have time!

別のエントリーでも取り上げた話題ですが、Conroy本人が語っていたのは、最初は建物の100メートル離れた両側が爆撃された。次に50メートル離れた両側が爆撃された。この時点でこの建物が標的になっていると自覚したと話していました。その後、Colvinは殺害され、Conroyは重傷を負うわけで意図的に狙ったとしか言えない行動だったとか。

国同士が正面切って戦う時代が終わった今、「文民保護」は時代遅れな響きがしてしまっていますが、その重要性がいささかも減じていない現状があるんですよね。。。


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