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自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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Where-ever law ends, tyranny begins,

 
検察庁法改正案 2020年5月15日 16時14分

3 本年2月13日衆議院本会議で、安倍総理大臣は「検察官にも国家公務員法の適用があると従来の解釈を変更することにした」旨述べた。これは、本来国会の権限である法律改正の手続きを経ずに内閣による解釈だけで法律の解釈運用を変更したという宣言であって、フランスの絶対王制を確立し君臨したルイ14世の言葉として伝えられる「朕(ちん)は国家である」との中世の亡霊のような言葉を彷彿(ほうふつ)とさせるような姿勢であり、近代国家の基本理念である三権分立主義の否定にもつながりかねない危険性を含んでいる。
 時代背景は異なるが17世紀の高名な政治思想家ジョン・ロックはその著「統治二論」(加藤節訳、岩波文庫)の中で「法が終わるところ、暴政が始まる」と警告している。心すべき言葉である。

「朕は国家である」 については過去のブログで取り上げました。英語でもフランス語のL’État, c’est moiで通じるようです。

ジョン・ロックの「法が終わるところ、暴政が始まる」についても原文をあたってみました。

(Amazonでの紹介文)
統治二論  加藤節
イギリス社会が新興の中産階層の力で近代社会へと脱皮してゆくとき、その政治思想を代表したのがロック(1632‐1704)であった。王権神授説を否定し、政治権力の起源を人びとの合意=社会契約によるとした本書は、アメリカ独立宣言の原理的核心となり、フランス革命にも影響を与えた。政治学史上屈指の古典の全訳。

英語圏でいつも感心させられるのはリファレンスの充実。今回もTwo Treatises of Civil Governmentの原著を簡単に読めるサイトがありました。愚痴ですが、今回の日本の記事では「意見書」を取り上げてても「意見書」全文を読めるリンクを貼ってあるところはほとんどなかったんですよね。情報をうやむやにするという姿勢は政府だけでなくメディアにもかけていると思います。

日本語はKindle Unlimitedにあった市民政府論(角田 安正)の訳から。 該当部分は18章のOf TYRANNY(専制について)で登場していました。

202
Where-ever law ends, tyranny begins, if the law be transgressed to another’s harm; and whosoever in authority exceeds the power given him by the law, and makes use of the force he has under his command, to compass that upon the subject, which the law allows not, ceases in that to be a magistrate; and, acting without authority, may be opposed, as any other man, who by force invades the right of another. 

(中略)

 for the exceeding the bounds of authority is no more a right in a great, than in a petty officer; no more justifiable in a king than a constable; but is so much the worse in him, in that he has more trust put in him, has already a much greater share than the rest of his brethren, and is supposed, from the advantages of his education, employment, and counsellors, to be more knowing in the measures of right and wrong.

二〇二. 法を破り、人に損害をもたらしたとする。そこでは法が終わることになり、必ず専政が始まる。また、権力者が越権行為を働き、指揮下にある武力を行使し、法によって容認されていない事柄を臣民に押しつけたとする。そのようなことをしでかせば、たちまち為政者としての資格を失う。そして、権限の裏づけなしに行動すれば、抵抗をまねく。それは、他人の権利を力ずくで侵害すれば、必ず抵抗を受けるのと同じことである。

(中略)

それは次のことを考えてみれば分かる。越権行為が許されないという点で、高官も小役人と同じである。自分の越権を正当化できないという点で、国王も一介の巡査と同じである。それどころか、越権の罪が重くなるのは、むしろ国王である。なぜなら、国王は一般国民とくらべて、その身に寄せられている信頼が大であるし、与っている分け前も多いからである。また、教育·職分·助言者に恵まれているので、正邪の基準をよくわきまえているはずだからである。


“Where-ever law ends, tyranny begins”. The equality of all citizens under the law is a lynch-pin of the modern notion of the rule of law in a democratic state. A revolutionary implication of this idea, well appreciated by Locke in the tumultuous 1680s, is that even rulers and their magistrates were also under the “sovereignty of the law”. Locke concludes that when any member of the state exceeds his legal authority or in any way violates the law, he ceases “to be a magistrate; and, acting without authority, may be opposed, as any other man, who by force invades the right of another.”

この章はいわゆる「抵抗権」を語っている部分でもあるのですね。A revolutionary implication of this ideaと指摘しているように「革命権」とした方がこの主張の急進性を感じ取れそうです。

(Wikipedia)
抵抗権(ていこうけん、英: Right of Resistance)とは、人民により信託された政府による権力の不当な行使に対して人民が抵抗する権利。革命権(英: Right of Revolution)、反抗権(英: Right of Rebellion)とも言われる。

そういう意味でもロックの引用は反対派の政治的立場として的を得ているのかもしれません。

209
But if either these illegal acts have extended to the majority of the people; or if the mischief and oppression has lighted only on some few, but in such cases, as the precedent, and consequences seem to threaten all; and they are persuaded in their consciences, that their laws, and with them their estates, liberties, and lives are in danger, and perhaps their religion too; how they will be hindered from resisting illegal force, used against them, I cannot tell. This is an inconvenience, I confess, that attends all governments whatsoever, when the governors have brought it to this pass, to be generally suspected of their people; the most dangerous state which they can possibly put themselves in; wherein they are the less to be pitied, because it is so easy to be avoided; it being as impossible for a governor, if he really means the good of his people, and the preservation of them, and their laws together, not to make them see and feel it, as it is for the father of a family, not to let his children see he loves, and takes care of them.

二〇九. 
しかし、為政者の不法行為が国民の大半に及んでいるとしよう。あるいは、危害や抑圧にさらされているのがごく一部の人々だけであるとしても、前例や事態の展開から判断して脅威が全員に及びかねない様相を呈しているとしよう。しかも、法とともに財産·自由·生命、、さらには恐らく信仰までもが危殆に瀕しているということが、良心に照らして確信できるとしよう。そうだとしたら、不法な力を加えられている国民がそれに抵抗することを、どうして妨げることができようか。
実のところ、統治者が広く国民から清疑の目を向けられたときには、いかなる政府もこのような国民の抵抗をまぬかれないのである。統治者が陥る可能性のある危地のうち、これほど危険なものはない。しかし、それを回避することは本来たやすいことであり、その分、統治者に対する同情は割り引くべきである。一家の父親が子どもたちを愛しその世話に励むなら、子どもたちは必ずそれに気づく。同様に、統治者が本気になって国民の利益を計り、国民とその法を併せて保全しようとするなら、国民は必ずやそれを目で捉え、感じ取るはずである。



蛇足ですが、この本が「アメリカ独立宣言の原理的核心となり、フランス革命にも影響を与えた」とあります。ちょうどジェファーソンを読んだときに借りたデイヴィッド・アーミテイジの『独立宣言の世界史』が図書館から借りっぱなしだったので、読み進めなければと思いました。。。
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