Posted at 2020.08.09 Category : 未分類
今年は終戦75周年ということもあり、原爆について日本だけでなく世界中で取り上げられています。それはそれで意義があるのですが、かの大戦が単純化して語られることへの懸念があります。見落とされがちな問題を地道にフォローされている毎日新聞の栗原俊雄さんの言葉を原爆の悲惨さを伝えるくらいの同じくらいの真剣さで受け止めたいものです。
常夏通信
会員限定有料記事 毎日新聞2020年8月6日 10時00分(最終更新 8月6日 11時52分)
多くのメディアが8月に集中的に扱う戦争関連の報道を、私は一年中、10年以上続けている。人呼んで「常夏記者」。その私が本連載などで長々と発信しているのは、非常にシンプルなことだ。すなわち狭義の戦争=戦闘は75年前に終わったが、その狭義の戦争によって苦しめられ、国から何の補償もなく亡くなっていった人がたくさんいる。また今も苦しんでいる人がたくさんいる。広義の戦争は未完である、ということだ。そして、為政者は時にとんでもないミスを犯して、その借金の勘定書きは広く国民に押しつけられ、何十年たっても清算されない、という事実=「常夏史観」である。
栗原さんが関わっているものではなさそうですが、そのような見落とされがちなことに目を向けた映画が現在公開されています。
2020年7月25日(土)ポレポレ東中野ほか全国ロードショー。
戦後75年目の残留。生き別れた者が伝える、日本という国の今。
「私を日本人と認めてほしい!」フィリピン残留日本人
「私は日本人。でも言葉がわからないの!」中国残留孤児
太平洋戦争以前、フィリピンには3万人を擁する豊かな
日本人移民社会が存在した。
敗戦を境に日本人の父親と生き別れたことから
今も無国籍状態に置かれる
フィリピン残留日本人2世たちがいる。
中国東北部の日本の植民地・満州国に敗戦を機に
置き去りにされた子どもたち。
戦後30余年を経て日本に帰国するも、
言葉の壁による差別と貧困の果てに日本政府を訴えた
中国残留孤児たちがいる。
映画は2つの国の残留者たち、
そして、彼らを救おうとする市民たちの活躍を描きながら、
私たちが生きる『日本という国の今』を浮き彫りにしてゆく。
国民の保護者である国家には、残留者たちに果たすべき使命がある。
戦後75年目。日本政府は救済に動き出すのか!?
棄民を決定した当時の大本営だけでなく、同情のかけらもない裁判所の判決や支援に及び腰の現在の政府の態度に怒りがこみ上げてくる映画ですが、歴史の狭間で犠牲になっている人たちが現在進行形で存在すること。75周年という形で過去の話にしてはならない問題が今ここにあること、それを伝えてくれる貴重なものになっています。
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