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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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Black lives matterをどう訳すか

 


今年Black Lives Matterの問題が再燃した時から日本ではどのように訳すかが話題になっていました。

柴田元幸です。Black Lives Matterをどう訳すか。「黒人の命は大切」「黒人の命も重要」「黒人の命こそ大事」…日本語では「は」「も」「が」等を選べることが話をここではややこしくしていますね。どれも正しく、どれも物足りない。それだけ元のスローガンが幅広いということか。Black Lives Matter!

最近、村上春樹が訳の提案をしていましたが、見事にスッと入ってくる日本語です。

村上春樹をめぐるメモらんだむ
毎日新聞2020年8月21日 14時00分(最終更新 8月21日 15時01分)

ところで話は変わりますけど、『Black Lives Matter』というスローガン、あれいろんな人が翻訳しているんだけど、どれもピンとこない。もし僕が訳すとしたら『黒人だって生きている!』というのが近いように思うんだけど、いかがでしょう

英日翻訳をしているアメリカ人に感想を聴いてみると自分なら「黒人だって人間だ」と訳すかなという返答。こちらもメッセージのコアが伝わる日本語になっていますね。「黒人だって人間だ」と理解している人をネット検索してみると渡邊 裕子さんという方に行き当たりました。在米経験も豊富な方で信頼できそうです。

いろんな人が出してる論考の中でいいと思ったのはこれ。ワシントンDCの通訳の人。

私が思うに、真のニュアンスとしては「黒人だって人間だ」「黒人もちゃんと人間扱いしろ」「黒人だからって簡単に殺していいわけじゃない」って感じだと思うんだけどね。だと歯切れが悪い😓

このツイートで紹介されていたのが以下のブログ記事でした。

JUNE 19, 2020 BY SHIORI

個人的には、答えはmatterと言う言葉にあると思います。ここで「大切」と訳されているこの言葉は、より広く使われる important(重要)やvaluable(貴重)とは異なる意味があります。Matterという言葉は、「事柄として考慮すべき」という意味で、一見、importantやvaluableほど強く聞こえませんが、それは使われる状況が異なるからです。後者二つは、相手が特に先入観のない、白紙状態の会話で使われ、0からプラスの状態に持ち上げます。他方、matterは、相手が大切だと思っていないことに関して、「実は大切なんです」と訴え、マイナスの状態から上げていく言葉です。Matterが名詞としては「物質」や「案件」などを意味することを考えると、動詞としても「存在してないと思われていることが存在している」という意味が込められていると思います。黒人の方の命は、これまで軽視されてきました。400年前にアフリカから連れてこられた時から、奴隷として働いた時も、公民権運動の前も、その後もずっとです。あの警官はジョージ・フロイドさんを人間として見ていないから、首を膝で押さえつけたりすることができるのだと思います。したがって、Black Lives Matterは、「これまで軽視されていた黒人の命は大切」と言う意味になり、そこまで書き出すと、「は」が排他的に聞こえなくなります。(6月20日追記:背景も含むとこのような形になりますが、この長い言葉が最適な訳だと提案しているわけではありません。たとえば、こちらのNHKの記事には、より自然に聞こえる意訳がいくつか提示されています。)

ここで触れているNHKの記事も何人もの研究者が訳を提案していてとても勉強になります。そもそもの発端となるメッセージは以下だったんですね。

2020.06.19

きっかけとなったのは、2012年に起きた事件だ。
2月に南部フロリダ州でトレイボン・マーティンさんという黒人の高校生が夜、フードをかぶって飲み物とお菓子を買って帰るとき、自警団の男性に不審者と見なされて射殺された。
マーティンさんは当時、銃などは持っていなかったが、男性は正当防衛が認められ無罪になった。
それを知ったアリシア・ガルザさんという黒人女性がSNSに投稿した文章、“Black people. I love you. I love us. Our lives matter, Black lives matter”が始まりだ。
直訳すると『黒人の皆さん。私は皆さんを愛している。私たちのことを愛している。私たちの命は大切。黒人の命は大切だ』という意味。
これを見た友人の女性がハッシュタグをつけ、そこからSNSで拡散していった。

先程のブログ記事に戻りますが、黒人だけ特権化するよりAll Lives Matterを掲げるべきだと言う考えにはきっぱりと釘をさしています。

All Lives Matter
今では、All Lives Matterという言葉が、せっかくのBlack Lives Matterを無に帰す、黒人の方に対して無神経な言葉だと言われています。All Lives Matterを口にする人には、善意から、黒人でない自分も動きの一部になりたいという方や、分断をなくし命の大切さを皆で一緒に語ろうという意思がある方も多いと思います。White Lives Matterという看板を持って練り歩く白人至上主義者とは全く異なります。しかし、このように、今の状況下ではAll Lives Matterと言う言葉はネガティブな意味合いを持ちます。

もう一人「黒人だって人間だ」と訳している方をご紹介。こちらはルワンダに住まわれているそうですが、とてもよく問題がまとまっています。

投稿日: 2020年6月14日 投稿者: Chisakarato

①私はBLMを支持・表明します
②ALL lives matterをかぶせることの害悪
③アジア人だってコロナで差別された!はここでは違う
④デモはもっと平和的にやれ!も論点そこじゃない
⑤白人でも黒人でもアメリカ人でもない人たちがゲームチェンジャーになる
⑥BLM表明のその先
⑦ルワンダとBLM

#All Lives Matter をかぶせることの害悪
時々聞くこの言葉、めちゃくちゃ違和感ある。そんなもん、みんなの命が大切に決まってる。なのに、アフリカンアメリカンの命が大切にされていないからBlack Lives Matterというフレーズが使われているという本質が見えてない。個人的には「黒人の命も大切」よりも、「黒人だって人間だ」の方が近いと思う。そのくらい、人として見られてない。ある人種の人たちが、私たちだって人間なんだよ!!って叫ばないといけない21世紀。人間って本当に悲しい。そこにドヤ顔で「みんな人間だよ!」と言う理由が分からない。All lives matterかぶせるのはやめましょう。

このAll Lives Matterに対してはキング牧師の「バーミンガム監獄からの手紙」の一節が響きます。再び渡邊 裕子さんのツイートをご紹介。

今日はMLKデー(キング牧師の日)。以前アスペン・セミナーに出た時、膨大な量のリーディングの中で最も強く心に残ったのが、オバマも載せている「バーミンガム監獄からの手紙」だった。読んだことない人は是非一読を。平易な英語なので、誰でも読める。高校の英語の教科書にでも載せたらいいのに。
引用ツイート

Barack Obama
@BarackObama · 1月20日
Every so often, I re-read Dr. King’s Letter from a Birmingham Jail. While some of the injustices may have changed, his poetic brilliance, moral clarity, and tests of conscience still reverberate today. Take a moment to reflect on his righteous call: 

Yutaが強く心に残った一節は以下です。

“We will reach the goal of freedom in Birmingham and all over the nation, because the goal of America is freedom.”
Story by Martin Luther King Jr.

I must make two honest confessions to you, my Christian and Jewish brothers. First, I must confess that over the past few years I have been gravely disappointed with the white moderate. I have almost reached the regrettable conclusion that the Negro’s great stumbling block in his stride toward freedom is not the White Citizens’ Counciler or the Ku Klux Klanner, but the white moderate, who is more devoted to “order” than to justice; who prefers a negative peace which is the absence of tension to a positive peace which is the presence of justice; who constantly says: “I agree with you in the goal you seek, but I cannot agree with your methods of direct action”; who paternalistically believes he can set the timetable for another man’s freedom; who lives by a mythical concept of time and who constantly advises the Negro to wait for a “more convenient season.” Shallow understanding from people of good will is more frustrating than absolute misunderstanding from people of ill will. Lukewarm acceptance is much more bewildering than outright rejection.

50年前の文章なのにLaw and orderを強調するトランプの顔が浮かんでしまいます(彼自身はwhite moderateなんかではないですし遵法精神も持ち合わせていませんが。。。)
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