Posted at 2021.02.28 Category : 未分類
昨日シェイクスピアのジュリアス・シーザーの上映会があったので行ってきました。この演劇は過去にこのブログでもブルータス、おまえもか?として取り上げました。本当は以下の河合先生と松岡先生のお話を聞きたかったのですが、売り切れで叶わず。。。講座の後半部分が明日まで公開中です。
5分くらいのところからブルータスとアンソニーの演説の違いを説明してくれるのですが、人心を掴むスピーチの理由を説明してくれて英語学習の面からも興味深いです。動画では松岡さんは演説の第一声で勝負が決まっていると喝破していました。
Brutus, Act 3 Scene 2
Romans, countrymen, and lovers! hear me for my cause, and be silent, that you may hear
Antony, Act 3 Scene 2
Friends, Romans, countrymen, lend me your ears
ブルータスは散文でA, B, and Cという教科書的な書き方やbe silent, that you may hearという「原因→結果」という論理的な書き方をして理性に訴えかけようとしています。が、アンソニーのようにFriendsと始めた方が聞き手は共感を持ちやすいし、「静かにすれば聞こえる」なんて当たり前のことを語るよりも「耳を貸して欲しい」と聞き手に積極的な働きかけをした方が効果的だというのです。
自分の経験からなのですが、英語学習しているとbe silent, that you may hearなんかで自己満足しやすいんですよね。ただし、何かを説明する場合には簡潔に論理的に伝える必要があると思うので、あくまで時と場合によるということでしょう。
ブルータスは散文調のスピーチで理路整然と語ろうとしているというのはシェイクスピアの創作とか。このあたりのテクニックはさすが何百年も生き残っているだけのものがあります。講座で紹介されていた部分です。
this is my answer:--Not that I loved Caesar less, but that I loved Rome more....
As Caesar loved me, I weep for him; as he was fortunate, I rejoice at it;
as he was valiant, I honour him: but, as he was ambitious, I slew him.
一方アンソニーのスピーチは、弱強五歩格(iambic pentameter)というシェイクスピアが多用した英語のリズムだそうです。
I come to bury Caesar, not to praise him.
The evil that men do lives after them;
The good is oft interred with their bones;
So let it be with Caesar. The noble Brutus
Hath told you Caesar was ambitious:
シェイクスピアのリズムを考える
さて、シェイクスピアがよく使うリズムは弱強五歩格(iambic pentameter)です。四歩格や三歩格だと歌うようなリズム。六歩格にすると息が続かなくなるので、五歩格がちょうどいいんですね。それから英語のリズムでいちばん自然なのが「弱強」。本(a book)のaよりもbookのほうが強い。お母さん(my mother)のmoが強い。英語のリズムでいちばん自然なのが弱強のリズムで、しかもそれを5回繰り返していくというのがいちばん自然なリズムなんです。シェイクスピアのリズムと書きましたが、別にシェイクスピアが見つけたことでもなんでもなくて、エリザベス朝の時代には、このリズムが流行っていました。弱強五歩格のリズムでなおかつライムがないものをブランクヴァースといいますが、これを流行らせたのはクリストファー・マーロウだと言われています。それをシェイクスピアも真似したんです。
こちらのRSCのText Detectivesというシリーズでもiambic pentameterの説明をしてくれています。弱強のリズムは心臓の鼓動だという説明はしっくりきます。
このシリーズではブルータスの演説のレトリックを説明してくれています。河合先生と松岡先生からは散々な評価の演説もどのような点が良いかポイントを実演を交えて見せてくれています。
ただし、1月6日のアメリカ議事堂襲撃事件の後、アンソニーが人心を掴むから良いのか、とは単純に言えなくなっています。今やっているCPACでも相変わらずの好き勝手喋るトランプ節をどの演者も使っているように思えますから。
スポンサーサイト
Tracback
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)