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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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英和辞書の信頼性を考える

 


英語力とは関係ないのですが、辞書が世の中の動きについていけるかは、仕事で英語を使っている人、特に翻訳家なんかは重要なポイントになります。例えば次のような用語について。

2021年04月20日 16時37分 JST
優劣があるかのような誤解を招く恐れがあるとして、日本遺伝学会などで見直しの動きが進んでいた。
ハフポスト日本版編集部

2017.9.11 日本遺伝学会
<dominant, recessive>優性→顕性及び、劣性→潜性 「優性、劣性」は遺伝学用語として長年使われていたが、優・劣という強い価値観 を含んだ語感に縛られている人たちが圧倒的に多い。疾患を対象とした臨床遺伝の 分野では「劣性」遺伝のもつマイナスイメージは深刻でさえある。一般社会にもすでに定着している用語ではあるが、この機会に、歴史的考察もしなかがら、語感がより中立的な「顕性、潜性」に変更することになった。

英辞郎は積極的に新語も取り入れてくれるものですが、このような注釈もありがたいですね。

(英辞郎)
dominant
《遺伝》顕性の、優性の◆2017年9月、日本遺伝学会は「優性」を「顕性」、「劣性」を「潜性」という表現に変更することを決定し、教科書の記述も変更するように文部科学省に要請した。

英和辞書ではジーニアスとリーダーズが載せてくれていました。リーダーズが翻訳者に絶大の信頼を受けている理由はこのようなところにもあるのでしょう。

(ジーニアス)
〘遺伝〙優性の, 顕性の(⇔recessive).
 Brown eyes are dominant.
茶色い目は優性だ

(リーダーズ)
〘遺〙 優性の,顕性の (opp. recessive)

ただ、今までの用語に慣れている身としては「顕性・潜性」という用語だとわかりづらいのも事実。Natureなんかも以下のように処理していました。

Nature Medicine 2021年6月22日

Nature Medicine
アルツハイマー病の予防薬として研究中のガンテネルマブとソラネズマブは、第2/3相臨床試験において、優性(顕性)遺伝性アルツハイマー病(DIAD)患者の認知機能の低下に有意な効果は示さなかった。このことを報告する論文が、Nature Medicine に掲載される。

特に移行期の間は、このような配慮があった方がありがたいですね。

もちろんこの動きを反映していない英和辞書がダメというわけでは全くありません。英和辞書に期待するのは専門語の語義ではなく、基本的な意味や語法とかがメインだからです。ただ、世の中の動きに疎すぎるのは問題ですが。。。
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