FC2ブログ

Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

RSS     Archives
 

今だに納得しない人たち

 


国連IPCCの報告書によって、脱炭素だ、グリーン改革だ、という流れになるのが普通の受け止め方になるかと思います。ワシントンポストの社説では、この報告書で気候変動否定論者が追い詰められているとタイトルにしています。

Editorial Board

This essential picture has not changed in decades. Yet scientists’ confidence has. Experts are more certain than ever that dire consequences are coming. For decades, climate change doubters clung to scientists’ acknowledgment that there is some give in their numbers — in particular, a key measure known as “climate sensitivity,” which refers to how much the planet will warm given a doubling of carbon dioxide in the atmosphere. The U.N. panel had previously offered a wide range of likely scenarios, 1.5 to 4.5 degrees Celsius. Doubters argued that warming might end up reflecting the low end of this range. Why force economic disruption to stave off warming that experts admit might not be as bad as some fear?
報告書の本質的な状況は数十年変わっていない。変わったのは科学者の確信である。専門家はこれまで以上に確信を持って壊滅的な結果が待ち受けているとしている。何十年も渡り、気候変動の懐疑者たちは固執していたのは科学者たちが算出した数字にはある程度幅があることを認めていたことだ。特に主要指標である「気候感度」だ。これは地球の温暖化の度合いを大気の二酸化炭素濃度が倍増した場合に示すものだ。国連のパネルが以前提供していた起こりうるシナリオは幅が広いもので1.5度から4.5度だった。懐疑者が主張していたのは温暖化は最終的にこの範囲の一番低いところに収まる可能性だった。どうして経済活動を中断させてまで温暖化を阻止すべきなのか、専門家は危惧しているほど悪くないと認めているのに。

This view never took into account the fact that uncertainty works in two directions: Things could also turn out far worse than scientists’ median estimates. Now the United Nations has voided this argument. In its latest report, the panel narrowed its climate sensitivity range to 2.5 to 4 degrees Celsius, ruling out the benign warming scenarios doubters insisted were still possible.
この見方が全く考慮していないのは不確実性が二つの方向性に作用することだ。状況は科学者による中間推定値よりももっと悪い状況になる可能性もある。現在国連はこの議論を無効にしている。最新の報告書ではパネルは気候感度の幅を狭め2.5度から4度にして、害の少ない温暖化のシナリオで懐疑論者たちがまだ可能だと主張していたものを排除した。

ところがどっこい。ウォール・ストリートジャーナルの社説は、ワシントンポストとは真逆の反応でした。前回の4.5度は大袈裟だったので上限を引き下げたのだと言っているようなものです。

Yet the report’s estimate of “climate sensitivity”—its response to a doubling of CO2—has moderated at the top end. The likely sensitivity range, says the report, is 2.5 to 4 degrees Celsius higher than in the late 1800s. The likely range was 1.5 to 4.5 in the 2013 report.
だが、最新報告書の「気候感度」(CO2濃度が2倍になった場合の温度上昇)の推定値は、上限が引き下げられた。同報告書によると、気候感度の範囲は1800年代終盤と比べて2.5〜4度高いと見込まれる。2013年の報告書ではこの範囲が1.5〜4.5度と予想されていた。

WSJの社説は保守的なことで知られていますが、国連の報告書を受けてもthere is no good reason to sacrifice your life, or even your standard of living(あなたの生命や、あるいは生活水準すら、犠牲にする正当な理由はない)と言っています。

The facts in the new U.N. report aren’t as dire as its advertising.
【社説】気候変動はそれほど壊滅的か
国連の最新報告書に誇張あり
By  The Editorial Board 2021 年 8 月 11 日 11:16 JST

The gargantuan report will take time to plow through, but a read of the 41-page “summary for policymakers” and perusal of the rest suggests that there is no good reason to sacrifice your life, or even your standard of living, to the climate gods. Hot rhetoric aside, the report doesn’t tell us much that’s new since its last report in 2013, and some of that is less dire.
 分厚い報告書をじっくり読むのは時間がかかるだろう。だが41ページにわたる「政策立案者向けの概要」を一読し、残りの部分に目を通すと、気候の神々のためにあなたの生命や、あるいは生活水準すら、犠牲にする正当な理由はないことが分かる。熱を帯びた表現はさておき、この報告書は2013年の前回報告書と比べてあまり目新しい内容を伝えておらず、その一部は前回ほど深刻なものではない。

“It is unequivocal that human influence has warmed the atmosphere, ocean and land,” says the report in its lead conclusion. But no one denies that the climate has been warming, and no one serious argues that humans play no role. How could eight billion people not? Adding the adjective “unequivocal” adds emphasis but not context.
 「人間の影響が大気や海洋、陸地の温暖化を招いたことは疑う余地がない」。同報告書は、結論の主要部分でこう述べた。だが、気候が温暖化していることは誰も否定せず、人間の関与が一切ないと真剣に主張する者もいない。80億もの人々がいて、それはあり得るだろうか。「疑う余地がない」という形容詞を足したことで強調にはなるが、文の内容に変わりはない。

日本の保守系の産経新聞も国連の報告書の政治性は問題視していますが、脱炭素の必要性は指摘していますので、WSJの開き直りとも言える態度は際立っています。

2021/8/11 05:00 産経新聞

Yutaは科学的な議論を論じることはできませんが、さかなクンの実体験は説得力があります。時間がある時は館山の漁師の船に乗せてもらっているそうで、生態系の変化を肌で感じています。

毎日新聞 2021/2/21 東京朝刊 有料記事 3490文字

 ――自然のサイクルがおかしくなってきた。
 ◆はい。近年なのですが、その時期が大きくずれてきたり、夏に取れるはずのお魚が秋になって取れてきたりですね、今までめったに目にすることのなかった、南から来遊してくるお魚がたくさん、それも種類が多く取れるようになっているんです。

 ――どんな魚ですか。
 ◆昨年びっくりしましたのはメイチダイが網の2割、3割を占める日が続いたことです。メイチダイはフエフキダイの仲間で、その名の通り、目のところに線が一本入っています。西日本では高級魚として知られているのですが、例年は秋口、網の中に何匹か入っているだけで珍しくて、「わー、メイチダイだ!」と言っていたのが、次の日も大漁、その次の日もその次の日も大漁で、「いつまで続くんだー」と思っていたら、とうとう1カ月ほども続きまして。



さかなクンと同じようなことをアメリカの東海岸の漁師が語っていたんですよね。

Ivette Feliciano: You're out there on the water. What is your experience of climate change?
Christopher Brown: We see traditional species of fish are no longer available. We see new species of fish that I've never seen in my life. I tell people all the time the ocean I fish in right now is not my grandfather's ocean. You know, much like there's no atheists in foxholes, you know, there are no climate change deniers in the commercial fishing industry.
海に出られていますが、どのように気候変動を経験されていますか。
-従来の魚がもう取れなくなったことです。人生でこれまで見たことがなかった新しい種類を見るようになっています。いつも言っています。今私が漁をしている海は祖父の頃の海ではないと。「塹壕の中に無神論者はいない(苦しいときの神頼み)」に近いもので、気候変動否定論者は水産業界にはいません。

いつも言っていることですが、WSJの社説は保守バリバリですが、調査記事などは読み応えがあるのでそこはしっかり分ければいいのかと思います。
スポンサーサイト



Comment


    
プロフィール

Yuta

Author:Yuta
FC2ブログへようこそ!




最新トラックバック



FC2カウンター

検索フォーム



ブロとも申請フォーム

QRコード
QR