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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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1冊だけ選ぶとしたら

 

国家〈上〉 (岩波文庫)国家〈上〉 (岩波文庫)
(1979/04/16)
プラトン

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本を1冊だけしか選べないとしたら、自分が選ぶのはプラトンの『国家』でしょうか。何も20世紀初頭の哲学者ホワイトヘッドの言葉、西洋哲学はプラトンの脚注に過ぎないを意識したわけではありません。

“The safest general characterization of the European philosophical tradition is that it consists of a series of footnotes to Plato.”

日常的な言葉で、素朴な問いを真剣に考えている姿勢を知った学生の頃の衝撃はやはり自分の中では大きいです。西洋文化的にも、洞窟の比喩、ギュゲスの指輪、詩人追放論、哲人王など、頻繁に参照されるトピックを提供している本でもあります。

プラトン 理想国の現在プラトン 理想国の現在
(2012/07/19)
納富 信留

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誰でも知っている本をあえて取り上げたくなったのは、図書館でたまたま『プラトン 理想国の現在』という本を借りて読んだからです。ギリシア哲学研究者として一般向けにも刺激的な本を書いてくださっている納富先生は以前から何冊か読んでいますが、この本ではプラトンが何を主題にしたかから、日本や世界での受容の歴史、そして、今日の日本でプラトンのこの本を読む意義について書かれています。

語学的に興味深かったのは、「理想」という言葉も明治時代以前には存在せず、「哲学」という訳語を作った西周の造語だったということです。プラトンの対話編の翻訳にしても、どうしても孔子と弟子のような説教調になってしまうので、日常の会話で訳すことができるまでには、随分と時間が必要だったそうです。ギリシア語の原書から訳した本を読めるのも、欧米諸国を除いては存在していなかったようなので、文化レベルの高さというのは日本が誇っていい点なのかもしれません。

プラトン『饗宴』 2013年7月 (100分 de 名著)プラトン『饗宴』 2013年7月 (100分 de 名著)
(2013/06/25)
納富 信留

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まあ、いきなり『国家』を読むのも大変かもしれないので、少しでも興味を持っていただけた方は、納富先生の上記のテキストをまず読んでいただければいいのではと思います。納富先生の本を読んで、久々に『国家』を読み直してみたくなりました。先生によれば、『理想国』の方がプラトンの真意を表したタイトルのようですが。。。
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