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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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論理と倫理

 
国立の試験で面接が導入されることに対しての反応がすごいですが、面接=人間力を測定という図式が単純だとしても、そのようなものを全く求めなくていいのか、それは違うのではないかと思ってしまいます。

まあ、面接だったら真っ先に落ちそうなヴィトゲンシュタインを持ち出すのはいい例でないかもしれませんが、論理学や言語理論を扱った本とみなされる『論理哲学論考』はポイントは論理ではなく倫理であったのではないか、という視点は考えさせられます。以前紹介した『ヴィトゲンシュタインのウィーン』からです。

Wittgenstein's ViennaWittgenstein's Vienna
(1996/10)
Allan Janik、Stephen Toulmin 他

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ヴィトゲンシュタインに最も近かったオーストリアの人々は、彼が何かに専念するときは、きまって倫理的な観点からであった、と主張する。この意味で、ヴィトゲンシュタインは、彼らの一人に直ちにキルケゴールを思い出させた。『論考』は、彼の家族や友人のみるところでは、単に倫理学の書物以上であった。それは倫理の証文であり、倫理学の本性を示したものである。

Those Austrians who were close to Wittgenstein insist that whenever he concerned himself with anything, it was from the ethical point of view; in this sense he reminded one of them directly of Kerkegaard. The Tractatus was more than a merely a book on ethics in the eyes of his family and friends; it was an ethical deed, which showed the nature of ethics.

個人的にはan ethical deed(倫理の証文)の部分は「倫理の実践」と訳したくなります。Words and deeds(言行)と「言葉と実践」対比的に用いられる言葉ですので、「実践」と訳した方がより方向性がはっきりすると思うからです。

『論理哲学論考』でのヴィトゲンシュタインは論理では倫理を問えないと書いていますので、彼自身も試験や面接でそのような力を測ることはできないと考えるのかもしれません。オリジナルはドイツ語ですが。。。

6.4 All propositions are of equal value.
すべての命題は等価である。

6.41 The sense of the world must lie outside the world. In the world everything is as it is and happens as it does happen. In it there is no value -- and if there were, it would be of no value.
If there is a value which is of value, it must lie outside all happening and being-so. For all happening and being-so is accidental.
What makes it non-accidental cannot lie in the world, for otherwise this would again be accidental.
It must lie outside the world.

世界の意義は世界の外にあるのでなければならない。世界の中では、すべてはあるようにあり、すべては起きるように起きる。その中に価値は存在しない。--仮にあったとしても、それは価値ある価値ではないであろう。
価値ある価値があるとすれば、それは、起きるもの、あるようにあるものすべての外になければならない。起きるもの、あるようにあるものすべては偶然であるから。
それを偶然でないものとするものは、世界の中にはありえない。なぜなら、世界の中にあるとすれば、これもまた偶然となるであろうから。
それは世界の外にあるのでなければならない。


6.42 Hence also there can be no ethical propositions.
Propositions cannot express anything higher.
それゆえ倫理学の命題も存在しえない。
命題はより高きことを何ひとつ表現することができない。

6.421 It is clear that ethics cannot be expressed.
Ethics is transcendental.
(Ethics and æthetics are one.)
明らかに、倫理を言葉で言い表すことはできない。
倫理は超越論的である。
(倫理と美はひとつである。)

かれの有名な言葉は次の章の最後に出てきますが、試験で測れないからそれを求めなくていいことにはならないと思うんです。

7 Whereof one cannot speak, thereof one must be silent.
語りえぬことについては,沈黙するしかない。

漫画とゲームしか読まないけど専門だけでいいんだ、試験さえ通ればいいんだ、そんな態度だとどうなるか、そんなのは今の英語教師のレベルの低さをみればわかるでしょう。やっぱり「〜あるべきだ」みたいな理想は重要だと個人的には思うんです。そんなのは面接でも、時間をかけたとしても測れないものなのかもしれません。それに他人に押し付けられるものではないかもしれません。でも、だからといって問うべき問いではないとノーテンキな態度になっていいとは思えないのです。。。
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