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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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あのコーヒー事件

 
訴訟社会アメリカを象徴するエピソードとしてほぼ必ず登場するマクドナルドのコーヒー訴訟について回顧する動画がありました。自分がコーヒーをこぼしたのに高額の損害賠償を要求したがめつい消費者というステレオタイプしかなかったです。訴訟の英語表記だとLiebeck v. McDonalds Restaurantsと原告が前でvを挟んで被告が続くというかたちになるようです。



記事よりも動画の方が充実しているように思えます。メディアの記事はローカルなニュースから、全国ニュース、海外ニュースになるにつれて伝えられる文字数が少なくなり、単純化・矮小化されて伝えられてしまった点や、urban legend(都市伝説)となり面白おかしくバラエティのネタにされてしまった点が考えさせられます。

But as the story cycled through newspaper headlines, talk show story lines and late night punch lines, one thing was lost: the fact.

ギガジンでこの動画についての解説があります。

記事の方では、コーヒーカップはその頃とくらべ進化しているため、随分遠い昔のように感じると書いています。確かに、今ではマクドナルドでもカフェラテなんかも頼めるようになっていますし、自分で砂糖とミルクを入れるというのは少数派になってきているのかもしれません。

RETRO REPORT
Not Just a Hot Cup Anymore
By HILARY STOUT
Published: October 21, 2013
More than 20 years ago, 79-year-old Stella Liebeck ordered coffee at a McDonald’s drive-through in Albuquerque, N.M. She spilled the coffee, was burned, and one year later, sued McDonald’s. The jury awarded her $2.9 million. Her story became a media sensation and fodder for talk-show hosts, late-night comedians, sitcom writers and even political pundits. But cleverness may have come at the expense of context, as this Retro Report video illustrates. And below, a consumer affairs reporter for The Times reflects on how the world has changed since the lawsuit.

The point is, the world now caters to the coffee drinker. The idea of getting into a car without cup holders and lifting the lid off the cup in order to add milk and sugar and drink the coffee, as the facts of the case show Ms. Liebeck did that morning, seems strangely anachronistic.
Within the ensuing years, some genius invented a sculptured lid with a little sipping hole in the top, eliminating the need to open the cup and reducing the potential for spills. Sloshing grew less likely once the lip was raised above the cup rim.
Let’s not forget the evolution of the cup holder. Teams of car engineers continuously work to perfect their design for drivers in the front and those passengers two rows back.
Coffee technology has definitely come a long way.
We now have that little cardboard thing that goes around the disposable cup so you can hold a cup of hot coffee without discomfort. (It actually has a name: the zarf, and one Jay Sorenson is said to have invented it in 1993 and he holds a patent on it under the trademark Java Jacket. Now multiple companies make them.)


動画とほぼ同じような原告の立場に立った記事は以下の通りで、frivolous lawsuit(とんでも訴訟)ではないとまとめで語っています。

The McDonald’s Coffee Lawsuit

What can be learned from this case? First, the McDonald’s coffee case is not a frivolous lawsuit, as many people believe. In fact, Ms. Liebeck had a very strong case against a very unsympathetic corporate defendant. An argument can obviously be made that the punitive damages should not have been decreased, especially in light of the purpose of punitive damages. A judgment of $480,000 certainly would not be the same deterrent as $2.7 million.

Second, our profession can and must do our part to help change the public perception of our legal system.


ウィキペディア日本語版でもこの件について詳しく載っていました。以下、少し抜粋します。

マクドナルド・コーヒー事件
事件の一部始終
1992年2月、ニューメキシコ州アルバカーキのマクドナルドで、ステラ・リーベック(Stella Liebeck、1912年 - 2004年8月4日、当時79歳)とその孫がドライブ・スルーでテイクアウト用の朝食を購入した。ステラはその後、マクドナルドの駐車場で停車しているときにコーヒーを膝の間に挟み、ミルクとシュガーを入れるためにコーヒーの蓋を開けようとした。そのとき、誤ってカップが傾いてしまい、コーヒーがすべてステラの膝にこぼれた。
コーヒーはステラが着用していた服に染み込み、ステラはコーヒーの熱さに叫び声をあげた。運転していた孫は、最初はただコーヒーをこぼしただけと思っていたが、徐々にただ事ではないことに気付き、服を脱がせるなどの処置をして近くの病院へ向かった。直近の病院は満杯であったが、その次の病院は空いていたためステラは収容され、第3度の火傷であると診察された。

裁判とその判決
ステラは、火傷の直接的な原因が自分の行動にあることは認識していた。しかし、火傷の一因となったコーヒーの熱さは異常であり、この点についてマクドナルドは是正すべき義務があり、また治療費の一部を補償するべきであるとして訴訟を起こした。
陪審員による評議の結果、次の理由でリーベックに20%、マクドナルドに80%の過失があるとした。
• 訴訟と同様の苦情が過去10年間に700件あったこと
• マクドナルドのコーヒーが客に提供される際の温度は華氏180~190度(摂氏約85度)だが、家庭用コーヒーメーカーのコーヒーは華氏158~168度(摂氏約72度)であったこと
• コーヒーを渡す際、マクドナルドはなんら注意をせず、またカップの注意書きも見難いこと
その上で、填補賠償認定額20万ドルの80%にあたる16万ドルを本来の填補賠償額として、またマクドナルドのコーヒー売り上げ高の2日間分に相当する270万ドルを懲罰的損害賠償額として、それぞれ支払いを命じる評決が下された。
しかし、判事のスコットは評決後の手続で懲罰賠償額を「填補賠償額の3倍」に当たる48万ドルに減額を命じ、最終的にはマクドナルドが合計64万ドルの賠償金支払いを命じる判決が下された。その後、和解が成立し、マクドナルドは60万ドル未満(非公開)の和解金をステラに支払った。

真偽と真相
日本でこの事件は「コーヒーをこぼしただけで、裁判で3億円(16万ドル+270万ドルの当時の為替レートによる円換算額)もの賠償金を得た」という都市伝説めいたストーリーで知られ、訴訟大国アメリカを象徴するものとしてテレビ番組などで取り上げられた。
実際は、ステラには皮膚移植手術を含む7日間の入院と、その後2年間の通院が必要であり、娘はそのため仕事を辞めて介護にあたった。そして、治療費は1万1千ドルにも上り、治療が終わっても火傷は完全には癒えず、その痕が残った。また、マクドナルドは裁判中に「10年間で700件というのは0に等しい」と発言するなど、裁判において陪審員の心証を損ねた。

判決に対する、その後のアメリカ国内における反応
マスコミによる報道において、原告側のステラが重傷を実際に負った事実よりも、「コーヒーをこぼしただけで、賠償金目当てに裁判を起こした」という趣旨の偏向報道が当時はもとより、現代にいたるまでなされてきた。その結果、この事件と裁判はあくまで「治療費の請求」であったにもかかわらず、アメリカ国内外に「既存の訴訟システムが生み出す弊害」の1例として強く認識されている。


このRetro reportという連載は知らなかったのですが面白そうですね。
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