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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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英検問題をトリガーに

 
今年の秋の英検にアメリカの南北戦争が長文問題で登場しました。

Britain and the American Civil War

日本人が南北戦争を見る場合北軍の視点から捉えがちです。映画『リンカーン』も北軍の視点ですよね。敗北した南部の視点というのは、忘れられがちです。しかし、南部の人にとって、南北戦争の敗北の傷は、日本人にとっての第二次世界大戦と同じくらい深いものかもしれません。フォークナーは明らかに敗北した日本の状況とアメリカ南部を重ね合わせて見ています。


モダニズムの惑星――英米文学思想史の修辞学モダニズムの惑星――英米文学思想史の修辞学
(2013/10/17)
巽 孝之

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そんなことを垣間見せてくれるスピーチがありました。ノーベル賞作家のフォークナーが1955年に来日したさいのメッセージです。上記の本を読んでいるときに登場しました。訳はフォークナー全集27からです。

A hundred years ago, my country, the United States, was not one economy and culture, but two of them, so opposed to each other that ninety-five years ago they went to war against each other to test which one should prevail. My side, the South, lost that war, the battles of which were fought not on neutral ground in the waste of the ocean, but in our own homes, our gardens, our farms, as if Okinawa and Guadalcanal had been not islands in the distant Pacific but the precincts of Honshu and Hokkaido. Our land, our homes were invaded by a conqueror who remained after we were defeated; we were not only devastated by the battles which we lost, the conqueror spent the next ten years after our defeat and surrender despoiling us of what little war had left. The victors in our war made no effort to rehabilitate and reestablish us in any community of men or of nations.
百年前、私の国アメリカ合衆国は経済的にも文化的にも一つではなく、二つに分かれた国がお互いに激しく対立し、九十五年前どちらの側が勝っているかを試すために戦争になりました。私の側、南部はその戦争に負けました。戦争は広々とした海洋のような中立の場で戦われたのではなく、我々の家、庭、農場で戦われたのです。ちょうど沖縄とガダルカナルが、遠い太平洋上に位置している島ではなくて、本州とか北海道にあるようなものです。我々の土地も家も征服者によって侵入され、私たちが負けた後も彼らは居残りました。私たちは負けた戦争によって打ちのめされたばかりではありません。征服者は私たちの敗北と降伏の後十年も南部に滞まり、戦争が残した僅かなものまで略奪していきました。戦争の勝利者たちは、人々のコミュニティとしても、また民族のコミュニティとしても、南部を復興し再建するための、どんな努力もしませんでした。

下記の激励の部分は2011年を経験した今の我々にも響く部分ですね。

I believe it is war and disaster which remind man most that he needs a record of his endurance and toughness. I think that that is why after our own disaster there rose in my country, the South, a resurgence of good writing, writing of a good enough quality that people in other lands began to talk of a "regional" Southern literature even until I, a countryman, have become one of the first names in our literature which the Japanese people want to talk to and listen to.
人間が忍耐と強靭さの記録を必要としているということを、人間に最も強く思い起こさせるのは、戦争と災害であると私は信じています。だからこそ戦争による災害がもたらされた後で、私の国、南部において、優れた文学の復活が起こったのだと思うのです。それは、<地方性>豊かな南部文学のことを、外国の人々までが語り始めたほど十分優れた特質の文学で、ついに田舎者の私が、日本の方々が話をし、また耳を傾けたくなる最初のアメリカ作家たちの一人になったのです。


I believe that something very like that will happen here in Japan within the next few years - that out of your disaster and despair will come a group of Japanese writers whom all the world will want to listen to, who will speak not a Japanese truth but a universal truth.
これからの数年のうちに日本でも、これに似たことが起こるだろうと私は信じています。つまり、あなたがたの災難と絶望の中から、世界中の人々が耳を傾けたくなるような、そして日本の真実ではなく、普遍的な真実を語るような、一群の日本の作家が登場してくるだろうと思います。

このスピーチの全文を訳されているブログがありました。スピーチの最後は米ソの冷戦真っ只中にあることを感じとることができます。

つでに1950年のノーベル賞のスピーチもメモがわりに。。。

スピーチ音声
推敲スピーチ

このブログでは何度も書いていることですが、英語力を上げることは大切なことです。が、それと同じくらい、それぞれの人が背負っている歴史や心のありように敏感でありたいですよね。
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