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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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技術の正体

 

対訳 技術の正体 The True Nature of Technology対訳 技術の正体 The True Nature of Technology
(2013/11/08)
木田 元

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アマゾンでは売り切れになってしまっていますが、ジュンク堂池袋ではまだたくさん売っていました。正直、文明論をしたり顔で語るのは苦手です。眉間にしわを寄せて、遠くを見ながら「あの日がすべてを変えてしまった」のようなことはどうしてもできないのです。そもそも今回の原発の発端は、技術そのものに内在する問題というよりは、電源は何とかなるんではないかという人間の甘い見積りという程度の低い問題の気がしますし。。。


技術への問い (平凡社ライブラリー)技術への問い (平凡社ライブラリー)
(2013/11/12)
マルティン ハイデッガー

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それに、展開している技術論を真剣に考えるならハイデガーの『技術への問い』を読んだ方がいいでしょう。そもそも木田先生の技術論そのものがハイデガーの考え方から着想を得たものでしょうから。そういうことで、『対訳 技術の正体』の技術論はそれほど興味をひかれなかったのですが、若者向けの短いエッセイ2本が気に入ったので買ってしまいました。訳者のエメリックさんの英訳にも興味がありましたので。。。

春の旅立ち「風の色」
どうやら旅立ちといったものには、旅立つ自分は恵まれている、残る人たちに申しわけない、という意識がつきまとうものらしい。「後ろめたさ」は、そうした意識にともなうぼんやりした感情ではないだろうか。
そうだとすると、いま旅立とうとしている若い人たちにも、その後ろめたい気持ちをいつまでも忘れないでいてほしい、と言いたい気がする。

Perhaps such guilt is just a part of every such
embarkation: we feel fortunate to be setting out
on a journey ourselves, and feel that we are betraying those we leave behind. The blurred sense
of guilt we feel is a byproduct of that awareness.
Assuming that's true, I find myself wanting to
tell all the young people embarking on then
own journeys today to hold on to the guilt they
feel, and never let themselves forget it.


ふたたび廃墟に立って
いままた震災後の廃墟の映像を眼にし、82歳になった私にはもうなにもできそうもないが、かつてのあの旅立ちのころのことをまざまざと思い出している。あのころ、これ以上ないほど貧しかったが、なにも欲しくなかった。廃墟に立って、ただ自分が何者なのかを見きわめたいとだけ、烈(はげ)しく思っていたことを覚えている。

When I see the images of the ruins this latest
natural disaster has left in its wake, I realize that
at the age of eighty-two there is nothing much I
can do to contribute, and yet I find myself
besieged by memories of that period w hen I set
out on my own journey into the ruins. I was as
poor as poor can be then, but I wanted nothing.
I was inspired, as I stood facing the ruins, only
by the fierce desire to look hard at myself, and
to see what was there.



木田元先生は哲学者というより哲学紹介者という方ですし、話すことはいつも闇屋からドストエフスキーに出会ったことばかりですが、その覚悟の決め方はすごみがありますね。なぜだが分からないのですが、頑張っている俺アピールの人よりも「後ろめたさ」を持って何かに取り組んでいる人の方に心がひかれるようです。以前紹介した、安部公房の『終わり道の標べに』の冒頭の言葉しかり、アンジェリーナジョリーのスピーチしかり。。。

亡き友に
記念碑を建てよう。
何度でも、繰り返し、
故郷の友を殺し続けるために……。

To a Dead Friend: I shall build a monument, in order to kill my home town friends, again and again forever…

終った所から始めた旅に、終わりはない。墓の中の誕生のことを語らねばならぬ。何故に人間はかく在らねばならぬのか?……。

For the journey which begins where it ends, there is no finish, I must speak of the birth which comes within the grave. Why must people live in this way?



We are all, everyone in this room, so fortunate. I have never understood why some people are lucky enough to be born with the chance that I had to have this path in life and why, across the world, there's a woman just like me, the same abilities, the same desires, the same work ethic and love for her family who would most likely make better films than me — better speeches.
この部屋にいる皆さんはとても恵まれています。どうしても分からないことがあります。このような人生を送れる機会に恵まれているほど幸運な人がいる中で、世界には、私と同じような女性います。同じ能力、同じ希望、同じ仕事の取り組み、家族への愛情があり、きっと、私よりもいい映画を作り、いいスピーチをできることでしょう。

Only she sits in a refugee camp. She has no voice. She worries about what her children will eat, how to keep them safe and if they'll ever be allowed to return home. I don't know why this is my life and that's hers. I don’t understand that. But I will do as my mother asked and I will do the best I can with this life to be of use. And to stand here today means that I did as she asked. If she were alive, she would be proud. Thank you for that.
ただ、彼女は難民キャンプで過ごしているのです。彼女の声は届きません。日々心配していることは、子供に何を食べさせようか、子供の安全を守るにはどうしたらいいか、子供たちが故郷に戻ることができるかどうかなどです。どうしてか分かりません、私がこのような人生を送り、彼女があのような人生を送っているのか、わかりません。でも、私は母が求めたことをしていこうと思います。この人生でできうる限りの最高のことをして役立てていこうと思います。今日この場にいることは、母が求めたことを実行できたことであります。母が生きていたら、誇りに思ってくれたでしょう。どうもありがとうございました。

薄い本ですが、対訳形式で現在トップクラスの翻訳者であるエメリックさんの英訳が読めますから、英語学習に役立てようとすれば十分もとがとれると思います。
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