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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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アジアの女性とAsian womenの違い

 
外国の人と仕事をする上で問題を引き起こしやすいのは、英語の習熟度の低さが原因の場合もありますが、考え方の違いによってボタンの掛け違いが起きてしまうことの方ではないかと思うことがあります。英語力自慢に陥りがちな人は、この考え方や視点の違いに鈍感なのが気になります。また、受験勉強好き、文法好きも、公式を振りかざすように言語を扱いがちなため、この問題に鈍感になりがちです。

昨日は、自分が使っている言語の「くせ」「偏り」を自覚的に捉えることができる本を読むことができました。


知覚と行為の認知言語学: 「私」は自分の外にある (開拓社言語・文化選書)知覚と行為の認知言語学: 「私」は自分の外にある (開拓社言語・文化選書)
(2013/10/18)
本多 啓

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知覚と行為の認知言語学: 「私」は自分の外にある
この本は、生態心理学の観点から日常の言語表現の意味を見直すことでどのような展望が開けるかを見ていきます。言葉について、言語学にとどまらない幅広い知見を踏まえて考えていきます。人間が周りの世界をどのように経験しているか、それが言語にどのように現れているかを見ていくことで、世界が自分や言葉とどうつながっているかが広がりをもって見えてくる喜びを味わってください。

認知言語学というといかにも難しそうなことが語られているのではないかと腰がひけてしまうかもしれませんが、この本は以下のようなことをさまざまな身近な例で確認していくので、専門知識は不要です。専門知識に向かう前の問題意識=本質に迫ることができる感じでしょうか。

to perceive the world is to coperceive oneself(世界を把握することは自己を把握することである)生態心理学のギブソンの言葉


言葉には視点がはりついている

モノは一つの観点から見ると決まっているわけではない。同じモノでもいろいろな観点から見ることができる。そして見る視点が違えば、そのモノの見え方は変わる。


身近な例をたくさん引いてくださっていることは目次をみれば分かっていただけると思うのでこちらのリンクからご確認ください。その中からshoreとcoastの違いとアジアの女性とAsian womenの違いを紹介させていただきます。

shoreは海から見た岸なので、from shore to shoreだと太平洋を挟んでの日本とアメリカや大西洋を挟んでのアメリカとヨーロッパのようなイメージになり、一方のcoastは陸地から見た岸なので、from coast to coastだとアメリカ大陸横断のイメージになるそうです。

この当たりはプログレッシブは囲み記事で説明してくれています。
(プログレッシブ)
[類語]shore海岸, 湖岸, 河岸を表す一般語. 水上を意識した語:Shore Patrol米海軍憲兵隊. bank川岸や他の水路の堤で, 斜面は急なこともあるがゆるやかな場合が多い. beach海・湖・河の砂または小石の岸辺:a swimming beach海水浴場. coast長大な海岸. 内陸を意識した語:Coast Guard(米陸軍の)沿岸警備隊.

アジアの女性とAsian womenでは、日本人がアジアの女性と言えば中国やマレーシアなどの女性を思い浮かべるかもしれませんが、アメリカ人がAsian womenと言う場合には、日本人女性のことを指すこともあるそうです。

このように言われてみれば当たり前だなという、身近な例をいろいろ紹介してくださりながら言語の持つ特性を考えさせくれる良書だと思います。このような視点を持つことは外国語学習だけでなく、外国の人とビジネスをする上でも役立つことでしょう。

以下は「「私」は自分の外にある」というサブタイトルが気になった方に向けてのものです。われわれが無意識に使っている「私」「I」といった一人称を使えるためには他の人の視点に立てることが不可欠のようです。

つまり人間は自分の観点からは顔を直接見ることはできませんが、仮想的に自分以外の他人になって他人の観点にたち、その仮想上の観点から自分の顔を見る状況を想像する(シミュレーションする)ことができます。それによって仮想的に、自分の姿を見ることができます。そこでその姿を明示的に表せる可能性が出てきます。それが一人称代名詞が使われるもとです。
一人称代名詞には他人の観点からものを見ることが関わっているのです。

この一人称代名詞の習得に関してラブランドという心理学者の研究が紹介されていました。

Learning about points of view: spatial perspective and the acquisition of ‘I/you’*
Katherine A. Lovelanda


ABSTRACT
A cross-sectional and a longitudinal study of 2-year-old children was performed to investigate the developmental relationship between understanding differences in spatial point of view and correct comprehension and production of I/you pronouns. In Study I only those children who demonstrated understanding that individuals' points of view can differ had begun to master speaker's point of view, as shown by correct use of some of the pronouns. Only children with complete understanding of points of view were able to use all I/you pronouns without errors. In Study 11 no child used the set of I/you pronouns without errors until s/he had complete understanding of points of view. Across children, a given pronoun tended not to be free of errors until the child understood that points of view can differ. Results are interpreted to support the hypothesis that understanding spatial points of view is a cognitive prerequisite to understanding speaker's point of view, which governs the pragmatics of 11 you pronouns.

以下は本で使われていたHow Children Learn Languageという本からの抜粋です。

languageI.jpg


この実験は発達心理学の有名な「標準誤信課題」に似ていますね。



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