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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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(自分メモ)ビフォーアフターのビフォー

 


近々、アカデミー賞にもノミネートされたドキュメンタリー映画『アクト・オブ・キリング』を観に行こうと思いますが、インドネシアの関連図書をたまたま買って読んでいたのでまずメモ書きしておこうと思います。

インドネシアに詳しい人でないと「9・30事件と大虐殺」と聞いてもピンとこないでしょう。カンボジアのポルポトやルワンダと聞けば虐殺が連想されるのと大きな違いがあります。現に20世紀の虐殺の歴史を取り上げたサマンサパワーズさんの著書もカンボジアのポルポトから取り上げており、このインドネシアの件はまったく触れられていません。

虐殺、実行者が実演 インドネシア題材 映画「アクト・オブ・キリング」
2014年4月10日 朝刊 東京新聞

 大量虐殺の実行者に、再現ドラマを演じさせたらどうなるか-。「アクト・オブ・キリング」と題されたドキュメンタリー映画が、東京・渋谷のシアター・イメージフォーラムなどで十二日から公開される。インドネシアの九・三〇事件をきっかけに、百万人を超えるとされる人々が犠牲になった虐殺事件が題材。米国のジョシュア・オッペンハイマー監督が、八年にわたって取材を続けた。前代未聞の手法で撮影したわけ、作品の狙いなどを聞いた。 (前田朋子)

 「どの殺人者も、オープンで自慢げ。家族の前で『こう殺した』と演技してみせ、現場を見せたがる人もいた。そうしたことが、殺人者たちやインドネシア社会でどういう意味を持つのか、理解したかった」

 監督は、作品づくりの動機をこう語る。二〇〇五年に撮影を始めたころは虐殺を生き延びた人々を取材していたが、殺害実行者らから度々妨害され、方針を転換。喜々として虐殺の過去を語る実行者に「記憶を映画化しては」と持ち掛けた。彼らはインドネシア政府側に立っており、国軍や警察の協力の下、順調に撮影が進んだという。

(中略)

 <9・30事件と大虐殺> 1965年9月30日、スカルノ大統領の親衛隊の一部がクーデターを起こそうとした。その後、のちに大統領になる有力将校スハルトが権力を掌握。事件の黒幕は共産党だとして大弾圧を行った。当局側から「共産党関係者」と判断された百万もの人々が殺害されたとされる。民兵組織を含む実行者らがその後も権力を握り続けていることなどから、今も真相の究明は進んでいない。クーデターと虐殺の背景には、軍と共産党の対立のほか、共産勢力の台頭を恐れた米など西側諸国の援助があったことが指摘されている。


正直この映画のことについては対してあまり興味もなかったのですが、著名なインドネシア研究者の倉沢愛子さんの著書であり、9・30を真っ正面から取り上げているので購入した本を読んでから見なければいけないと思い始めました。なぜ9・30に関心があったのかというと、1995年にインドネシアに旅行に行ったときにちょうど30周年にあたり、いろいろお世話になったインドネシアの青年が今日は特別な日だと深刻な面持ちで語っていたことが印象に残っていたからです。その時はもちろん、インドネシアの知識なんてまったくなかったのでその重要性やトラウマをまったく理解していなかったのですが。。。


9・30 世界を震撼させた日――インドネシア政変の真相と波紋 (岩波現代全書)9・30 世界を震撼させた日――インドネシア政変の真相と波紋 (岩波現代全書)
(2014/03/19)
倉沢 愛子

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(著作の紹介文)
一九六五年一〇月一日未明に、ジャカルタで軍事政変が勃発、半年後の一枚のスカルノ大統領が発したとされる命令書により、権限はスハルトへと移った。中国では文化大革命が起き、東南アジアにアセアンが成立し西側反共主義陣営の結束を固め、日本は大規模な経済進出の足掛かりをつかんだ。政変を主謀したとされたインドネシア共産党は非合法化され、党員は逮捕され殺され政治犯にされた。国内全土に大虐殺の嵐が吹き荒れ、インドネシア経済を担っていた華僑への迫害がエスカレートしていく。膨大な一次史料と先行研究を踏まえ、いまだ謎に包まれた事件の真相を追究し、インタビューと現地取材を通して、事件の波紋の全体像を活写する。

この本の書評はこちらのリンクのものが詳しいです。

映画を見る前にこの本について書いておこうと思ったのは、映画を見て感情的に揺さぶられる前に整理しておきたかったからです。倉沢先生の本は、どちらが悪いとか何かを糾弾しようとするのではなく、あのとき、どのような状況で、実際何が起こったのか、大きな構図を明らかにしようとしていると思います。先生はフィールドワークで当時の加害者や被害者にも会ってお話を聞いているので、センチメンタルにドラマチックに書こうと思えばできたと思うのですが、そうではなく、当時のインドネシアの国内事情や冷戦時の国際状況も含めて冷静にどうのような力学が働いていたのかを描き出そうとしている印象でした。ですから、安易に米国の後ろ盾があった陰謀論も退けています。

僕たちはインドネシアを安易に最大のイスラム教国家というくくりにしますが、共産党員の迫害を逃れるために、イスラム教徒になった人数もかなりの数がいるようです。無宗教ですと安全に言える戦後日本の方がある意味特殊なのかもしれません。宗教、政党など、紋切り型の理解を避けるためにはできるだけ丁寧にその国に寄りそって学んでいく必要がありそうです。


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