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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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Empty Space

 


先日ブログで記事にした本の丁寧な書評がありました。今回はempty spaceという語についての雑感です。本題に関係ありませんが上記の動画を見ると、シナイ半島が「サイナイ」と発音されていますね。

原発問題、民族紛争を小学生が解決!? 小4が「世界平和」を目指す驚きの授業
2014.3.31

「国防大臣による傀儡政権が暴走し、侵略しようとする傭兵部隊へミサイルを発射したところ狙いが外れて油田に命中、深刻な環境汚染を引き起こす」「少数民族が古からの民族の土地で独自の宗教国家設立の動き」「戦争で他国を征服して世界制覇を狙う独裁者に、閣僚によるクーデターが勃発」「ある海洋国が津波に襲われて産業の大半が崩壊。さらに海洋汚染、ハリケーン、原発での炉心溶融まで発生し、壊滅的打撃を受ける」「貧国の国防大臣が、首相の命令に逆らって軍事作戦を展開。隣国の油田地帯へ派兵し、これを占拠する」…といっても、これは現実のニュースではない。これらを引き起こしたのは、すべて小学4年生。アメリカ人教師ジョン・ハンター氏が、1978年に考案した「ワールド・ピース・ゲーム」という世界平和を目指すゲームを使った小学校の課外授業での出来事だ。


アメリカのAmazonでは下記にある「学習の7つの段階」を説明したPrologueまでを読むことができます。

ハンター氏はこのゲームで成功を収めるためには、正確な答えと正しい解決策である「知識」、試行錯誤を通じてしか得られない「創造性」、より深く幅広い理解である「英知」が必要と言う。そして「私は既知の当たり前の知識などより、時間をかけて形を成してくるような知識を重視する」と語っていて、掛け算や歴史の年号といったようなテストで正解するための知識を詰め込むのではなく、まだ見えていないもののために場所を空けておく(ハンター氏はこれを「エンプティ・スペース」と呼ぶ)べきだという。そこは可能性や潜在能力が生まれたり、新しいことを考えついたりする場所なのだという。子どもたちは数多くの問題に困惑し、失敗を重ねながらやがて理解して仲間と協力し、解決策をひらめき、その流れに乗って理解を実践に変えていく「学習の7つの段階」を経て、最終的に世界平和を獲得するという。そこでの数々の生徒のエピソードが本書『小学4年生の世界平和』(ジョン・ハンター:著、伊藤真:訳/KADOKAWA 角川書店)で紹介されているのだが、その大人顔負けの行動には驚くばかりだ。

このPrologueは The Power of an Empty Spaceというタイトルになっていて日本語版では「可能性の宝庫 – ぽっかり開いた「エンプティ・スペース」」となっています。アメリカでも標準テストを全国で導入して、学校や教師の成果にも活用するという流れになっているようですから、そのような流れへのアンチテーゼとして注目を集めているかもしれません。

訳書ではEmpty Spaceを「エンプティ・スペース」と訳されています。

(英辞郎)
empty space
空きスペース、(何もない)空間、隙間、空所
表現パターンempty [void] space

fill an empty space
空間[空きスペース]を埋める

fill the empty space in someone's heart
(人)の心に空いた穴を埋める

ただ、この先生は孫子の兵法書を授業でも用いているとあるように東洋思想に興味がある方のようです。「彼を知り己を知れば百戦して殆うからず」のようなものも孫子なのですね。

(Wikipedia)
知己知彼,百戰不殆。
If you know both yourself and your enemy, you can win numerous (literally, "a hundred") battles without jeopardy.

TEDの経歴で簡単に触れていますが、日本や中国、インドで学んだとあり、日本海沿岸のお寺にも行ったと本にありました。

During his university years, he traveled and studied comparative religions and philosophy throughout Japan, India and China. It was while in India, the cradle of Ghandian thought, Hunter, intrigued by the principles of non-violence, began to think of how his profession might contribute to peace in the world.

このempty spaceも東洋の師から学んだと本のPrologueにもあります。

When I became a teacher, I turned instinctively to the notion
of the empty space, but the lessons - I had learned first from my
mother, later from my teachers in the East - were not always so
easy to apply. Like any novice in the classroom, I found myself
reaching for the things I could count on. Rather than seeking to
create an empty space, I filled my students' days with as many
activities as time allowed, hoping for results that I could, to some
extent, control.

別にこの本は東洋思想の素晴らしさをくどくど語っている本ではなく、先生と子供達が試行錯誤するなかで学んできたものを伝えてくれている本ですが、仏教の「空」を意識してのものかもしれません。翻訳をせめるつもりは毛頭ありませんが、Empty spaceを「エンプティスペース」としてしまうとそのあたりの語感は落ちてしまいますね。

(Wikipedia)
仏教における空(くう、梵: śūnya、巴: suñña)とは、固定的実体もしくは「我」のないことや、実体性を欠いていることを意味する。空は時代や学派によっていくつかの概念にまとめられるが、その根本的な部分ではほぼ変わらず、いずれも「縁起を成立せしめるための基礎状態」を指している。
ただし、下述するように、この概念は初期仏教以来用いられてきたものではあるものの、とりわけ大乗仏教初期の『般若経』やナーガールジュナ(龍樹)の『中論』及びその後継である中観派によって、特に強調・称揚・発展されてきた概念であり、そこに端を発する中国仏教宗派の三論宗を「空宗」と別称する[1]ことからも分かるように、一般的にはその文脈との関連で用いられることが多い。
原語はサンスクリットの形容詞「シューニャ」、名詞形は「シューニャター」(Śūnyatā) でしばしば「空性」と漢訳される[2]。

(英語版Wikipedia)
Śūnyatā, (Sanskrit, also shunyata; Pali: suññatā), in Buddhism, translated into English as emptiness, voidness,[1] openness,[2] spaciousness, vacuity, is a Buddhist concept which has multiple meanings depending on its doctrinal context. In Theravada Buddhism, suññatā often refers to the not-self (Pāli: anatta, Sanskrit: anātman)[note 1] nature of the five aggregates of experience and the six sense spheres. Suññatā is also often used to refer to a meditative state or experience.

脱線しますが、般若心経の色即是空、空即是色は英訳の方がずっと分かりやすいですね。

舎利子色不異空空不異色色即是空空即是色受想行識亦復如是

英訳1
O Shariputra, form does not differ from emptiness, emptiness does not differ from form; that which is form is emptiness, that which is emptiness form. The same is true of feelings, perceptions, formations, consciousness.

英訳2
Śāriputra, form is not different from emptiness, and emptiness is not different from form. Form itself is emptiness, and emptiness itself is form. Sensation, conception, synthesis, and discrimination are also such as this.

ハンターさんのことをまったく知らないままでの雑感になりますが、もしかしたら60年代、70年代のカウンターカルチャーの中で育った影響も無視できないのかもしれしれないとふと思いました。アップルのスティーブジョブズもインドに行っていて、自室で瞑想している写真があったりしますよね。

この本から東洋思想を読み取るべきだと言うのではありませんが、翻訳や外国語を通すとこういう語感は抜け落ちやすいものです。語学学習者としては、このような意味に現れない語感のようなものも大切にしていきたいですよね。

個人的には欧米の「禅」の取り上げ方には違和感を感じますが。。。(汗)

Mind is like empty space…
When the sun rises... empty space does NOT gain in brightness
When the sun sets... empty space does NOT darken
Light & dark are just phenomena within empty space that alternate with each other...

BUT the nature of the empty space itself remains unchanged.

Zen Master Huang Po

Presentation Zenのサイトでは生け花とempty spaceについて語っている記事がありました。こちらのempty spaceは「間」と絡めています。

September 14, 2009
10 design lessons from the art of Ikebana

The principle of Ma
A form of space seen in Japanese art forms, such as traditional Japanese gardens, and Ikebana, is Ma (間). Ma means empty, spatial void, and interval of space or time. Ma does not just mean the kind of empty space that is background; the emptiness is often arranged to be a focal point. Space is emptiness, yet it also has shapes. (後略)

*******

Lessons for your creative life
1. Empty space is as important as the positive elements. Learn to see space. Learn to create space.
2. Space allows other elements to “breath," to move, and connect — with each other and the viewer.
3. Empty space is a powerful amplifier, helping to create a whole that is more engaging than the sum of individual parts. (後略)

狭義の「語学学習」にはこのような要素が入り込む余裕はありませんが、英語教師でもないなら、いつまでも発音だ、文法だ、といった議論に終始するのではなく、広義の「語学学習」も大切にしたいですね。

そうそう、TOEICにはemptyが動詞としても使われていました。

Should we empty the recycling bin today?

動詞emptyはロングマンでは3000語レベルに入っていませんが(形容詞emptyは書き言葉、話し言葉とも2000語レベル)、オックスフォードは動詞emptyもOxford3000語に入れています。

(オックスフォード)
empty
[transitive] to remove everything that is in a container, etc.
empty something
He emptied the ashtrays, washed the glasses, and went to bed.
He emptied his glass and asked for a refill.

(中略)

empty something of something
The room had been emptied of all furniture.
(figurative)She emptied her mind of all thoughts of home.
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