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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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教材のアプリ化は既定路線!?

 


先週末は仕事でほとんどがつぶれてしまいましたが(涙)、新国立劇場の『テンペスト』を観に行くことは何とかできました。上記の動画で白井監督のエアリアルの演出を褒めていますが、有名な戯曲はどのように演出するかも興味深いポイントですよね。以前紹介した映画版テンペストはプロスペローに女性を抜擢していました。



劇を観た後、Tempestのアプリを買ったのですが、セリフの部分で音のアイコンをクリックすると演劇での録音を聞けたり、解説を読めたりと至れり尽くせりでした。1000円とアプリにしては高価ですが、とても満足のいくものでした。英語の教科書も英文をクリックすると音声が出るようになるというのが当たり前の世界になっていくかもしれませんね。


はじめてのシェイクスピア―英文学の最高峰を楽しむはじめてのシェイクスピア―英文学の最高峰を楽しむ
(2003/05)
戸所 宏之

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さらに今回テンペストを調べるにあたって嬉しい発見がありました。あらすじや有名なセリフを紹介してくれている、シェイクスピア案内として素晴らしいできの本を以前紹介しましたが、何とサイトでその内容を公開してくれていました。

以下はサイトのこの劇の説明です。「後悔したから赦す、謝ったから赦すというのは、まだ本当の赦しとはいえないのではないか、怨念を越えた無条件の赦しこそ真の赦しではないか、という根源的な疑問から出発し、到達した深淵な思想だ。その奥には、赦す側こそが赦されるという宗教的な弁証法がある。」なんて部分は深いですね。

『あらし』は不思議な劇である。別に魔法が使われるからではない。この劇の中心主題は赦しと解放だが、その赦しにしても、罪を後悔する者を赦すだけでなく、後悔のことばを何一つ語ることのない者まで赦している。それはほとんど理不尽でさえある。プロスペローは、自分を悪魔と呼ぶセバスチャンを赦し、親子ふたりを孤島に追いやった弟も赦す。アントーニオはその罪についてひとことも謝罪していない。「目には目を」の精神構造からするとなんと不思議なことではないか。しかし、これこそがこの劇でシェイクスピアが取り上げようとしている思想だ。後悔したから赦す、謝ったから赦すというのは、まだ本当の赦しとはいえないのではないか、怨念を越えた無条件の赦しこそ真の赦しではないか、という根源的な疑問から出発し、到達した深淵な思想だ。その奥には、赦す側こそが赦されるという宗教的な弁証法がある。『ヴェニスの商人』で裁判官に扮したポーシャが、シャイロックに向って「慈悲は、天から降りそそぐ恵みの雨のように大地を潤す」といって慈悲を促したものの、自分からはシャイロックに対して慈悲のかけらも見せなかった。シェイクスピアが問いを立てたのはこの問題である。無条件の赦しに至って初めて、赦しは「天から降りそそぐ」のである。

「我々は夢と同じ材料でできている。この短い人生は眠りで包まれているのだ」のセリフを紹介してくれていますが、ちょうどその部分の動画もあったので合わせてご紹介します。



PROSPERO: Our revels now are ended. These our actors,
As I foretold you, were all spirits, and
Are melted into air, into thin air;
And, like the baseless fabric of this vision,
The cloud-capp'd towers, the gorgeous palaces,
The solemn temples, the great globe itself,
Yea, all which it inherit, shall dissolve,
And, like this insubstantial pageant faded,
Leave not a rack behind. We are such stuff
As dreams are made on; and our little life
Is rounded with a sleep.
(宴は終った。この役者たちは前にも話したように、みな精霊だ。今では空気のなかへ、薄い空気のなかへと溶けてしまった。そして、この幻が礎のない建物であるのと同じように、雲を頂く塔も、豪華絢爛な宮殿も、荘厳な寺院も、巨大な地球そのものも、地上のありとあらゆるものも、すべていずれは消滅し、今消えていった実体のない見せもの同様、跡形も残しはしない。我々は夢と同じ材料でできている。この短い人生は眠りで包まれているのだ。)

シェイクスピアが登場人物に語らせる終末論は、それぞれ独自の無常観を漂わせているが、とくにこの台詞は強烈な世界終焉の予告となって迫ってくる。

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