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『全力特急』はこんなところも全力

 

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(2013/03/07)
濱崎潤之輔、キム・デギュン 他

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HUMMERさんがTOEICの勉強法、解答方法を出し惜しみすることなく披露してくださることは予想できたことでしょう。伝えやすくするためなら指の動きのイラストを用いたりと、期待通りの出来です。ただ、この記事ではスコア対策についてのこの本の有用性などには触れていません。そういう点を期待している方には肩すかしのような記事になってしまっていますので、先にお詫びしておきます。

一方で、すでに英語学習方法が確立した方、TOEIC特化の学習をしていない方は、この本を手にとって見ることすらしないかもしれないな、と勝手に心配しています。っていうか、僕もその一人で立ち読みはするけど買うつもりはありませんでした(汗)

今回の記事は、そんな方にもこの『全力特急』を手にとってもらいたいと思って書かせてもらいます。ちょうど直前のブログで、「まだまだTOEIC教材はスコアを取るためだけのものが多いですが、仕事でも役に立てるためにも作られた教材がもっと出てほしいです」と書きました。

いい加減な日本語に訳してしまうと、TOEICの英語の実用性が伝わらなくなると思って書かせてもらったのですが、『全力特急』はちょうど今朝とりあげた日本語訳についても全力で取り組まれていました。「スコア対策の本はちょっと」と敬遠している方も、できるだけ自然な日本語で訳されている部分を是非確認していただきたいです。(もちろん、詳しい語注や構文理解と構文理解のための日本語訳など、参考になりそうな部分は他にもたくさんあります)。

これは別に翻訳の大切さだけを語っているのではないのです。自分が英語学習で自分で納得できる日本語で表現することの大切さを強調しているのは、いい加減な日本語、「あなたの調査へのご協力は、当社製品を改善するためのわれわれの努力を助けることになります。」のように普段では自分からは絶対に使わない日本語だと、オリジナルの英文が実際に使われる状況やニュアンスが読みとれなくなってしまうからなのです。アウトプットが苦手なのはTOEICのせいよりも、いい加減な日本語に置き換えてよしとしている態度なのではないでしょうか。

『全力特急』でも前回の記事で取り上げたのと近い部分があったのでそこを紹介します。まずは今朝取り上げた部分から。

(Yutaなりの英語=日本語等価メッセージ)
Your participation in the study will assist us in our efforts to improve our products.

先生にご協力いただきます調査を、よりよい製品づくりに役立てていきたいと思います。

先生にご参加いただきます調査を参考に、われわれは製品の改善に努めてまいります。

assist usとかhelp usとかいった表現は英語でよく使われるのですが、日本語にしづらいですね。ですから自分なりに大きくアレンジしてしまっています。


『全力特急』では同じEメールで添付資料を送付したことを伝える文章でassistという動詞が含まれていました。

To assit you, I have attached our comprehensive installation guide …(以下略)

この文章を以下のように訳されていました。

ご参考までに、総合インストールガイド・・・を添付いたしました。

とても自然な日本語ですよね。この素晴らしい日本語によって、資料を添付するときにはこの英語表現を使えばいいのかというのがよく分かるのではないかなと思います。英語初学者にとっても、ニュアンスや使われている状況がこの訳を読めば分かるのではないでしょうか。短すぎて自然な日本語であることがピンとこなかった方は、是非『全力特急』をお手にとってパート7でもパート4でもいいので、日本語訳を読んでご確認ください。これだけの質で日本語訳を載せているTOEIC学習教材はほとんどないのではないかと思います。

いやいや英語初学者は英語の構文を学ぶことを優先させるべきで、自然な日本語は後でいいのではと心配する方もいるかもしれませんが、そういう初学者向けというか、英語を構文的に理解出来ない人向けに、パート5の解説でそのような構文解析的なことを丁寧に説明してくれているので安心です。

この例だけではなく、リスニングパートでも英語のやり取りがとても自然な日本語で訳されていました。この訳を読めばどんな状況で話されているのか、お客様向けに話しているのか、同僚向けに話しているのか日本語を読むだけでも分かります。それによって、その使われた英語表現をよりよく理解でき、自分でもその状況に応じて使えるようになるのではと思っています。

まあ、これは僕自身の趣味の範囲なのかもしれませんが、HUMMERさんが日本語訳においても一切妥協せずに作られていたのを知ることができ『全力特急』は本当に「全力」だな、さすがだなと感心せずにはいられませんでした。

「仕事でも役に立てるためにも作られた教材がもっと出てほしいです」と書きましたが、『全力特急』のようなクオリティの本が出れば安心です。TOEICの勉強をやめるがTOEICを越えることだと思われがちですが、TOEICに徹底的にこだわることで役立つ英語教材に仕上げることだって可能なんだとHUMMERさんが実践してくださったように思いました。

以前のブログで、ジョブズの伝記を翻訳された井口耕二さんが心に残った1ページを紹介していることをご紹介しました。

「美しいチェスト(収納箱)を作るとき、家具職人は背面には合板ではなく、美しい木材を使う。美を、品質を最初から最後まで貫きとおす」というジョブズの言葉。私の仕事である翻訳も職人仕事であり、最終的に表に出ないところまでおろそかにせず、きっちり作り込むことが大事だよなと、この箇所を読んで改めて思いました。


"One of the most important things he taught Steve was [that] it's important to be a great craftsman, even for the parts unseen. When they were building a fence, he said, 'You have to make the back of the fence that people won't see look just as beautiful as the front, just like a great carpenter would make the back of a chest of drawers ... Even though others won't see it, you will know it's there, and that will make you more proud of your design.'"
(養父がスティーブに教えたことで最も重要なことのひとつに、職人に徹することの重要さである。これは目に見えない部分に対しても発揮されなければならない。フェンスを立てているときにも、「フェンスの裏側は人が見ないとしても正面と同じように美しくしあげなければならない。偉大な家具職人がたんすの裏側をしあげるように。他の人が見ないとしても、お前はそれがあることを知っている。これによって、自分が設計したことを一層誇りに思うことができるのだ。)と養父は語った」)

今回のHUMMERさんの著書を読ませていただいいて、「背面にも美しい木材を使う」ことの素晴らしさを感じさせてもらいました。スコア対策には興味がないという方は、自分のように買う必要はないかもしれませんが、是非是非手にとっていただきたいと思います。
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2013.03.08 | [] | Edit

コメントありがとうございました

正直に書かせていただきますと、出版までは読者を選んでしまうのではないか非常に心配していました。きっちりと学習法や解答法を書けば書くほど、立場の異なる人を遠ざけてしまうのではないかと思っていたからです。でもそのような心配はまったく無用でした。確かに学習法や解答法がメインの本(それはそれで大変素晴らしいものです)ではありますが、随所に丁寧に文法説明を盛り込まれていたりTOEICの内容そのものを理解してもらうこともおろそかにされていないことが、「TOEICを英語学習素材として役立てる」という立場の私としても大変嬉しいものでした。

これは学習者にとっても有難いことでしょう。こういうのは目立たない所ですが、TOEICを一歩離れたときにこのような点をおろそかにしたか、しないかで大きな差がでてしまうのではと勝手ながら心配しています。これからも今回の本のような、TOEICを大事にしつつもTOEICの先を見据えた指導を期待させていただきます。

懐が深い本になっていることが悦ばしい誤算であったために、TOEIC学習者的には意外な(余計な(汗))切り口だったかもしれませんが、あのような記事を書かせていただきました。次回作も心から楽しみにさせていただきます。

2013.03.08 | Yuta[URL] | Edit

    
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