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Uncharted Territory

自分が読んで興味深く感じた英文記事を中心に取り上げる予定です

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古典教育と政治性

 
個人的な意見としては、ギリシアやローマなどの古典から現代人は今でも学ぶべきものがあると思っています。ただ、古典教育は政治性を帯びやすいことも事実のようです。19世紀にラテンローマ教育が批判されがちで、ギリシアが再評価されたのも、ラテンローマが旧体制のアンシャンレジームと結びつくものとみなされたことも一因としてあったのではと思ってしまいます。


第一次世界大戦と帝国の遺産第一次世界大戦と帝国の遺産
(2014/04)
池田 嘉郎

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そんな、古典教育とイギリス帝国との関係を描いた論考が『第一次世界大戦と帝国の遺産』に掲載されています。

古典教育と黄昏のイギリス帝国
 1 古典学専修課程の成立
 2 栄達の道へ
 3 帝国支配を支える
 4 古典学と国際秩序

インド高等文官でも英語と古典語の比重がとても高かったというのです。

しかも「帝国の時代」のたけゆくとともに、この思考方法を手に入れることが支配する者にとって必須の要件となっていく事実を見逃してはならない。従来、登庸に際して、つてを頼ったり、弾きによっていたインド高等文官試験(ICS)が1850年代に筆記試験を導入して採否を決するようになる。

改革案にみる試験の配点は以下のとおりである。

英語、英文学、イギリス史 1500点
古代ギリシア語、古代ギリシア文学、古代ギリシア史 750点
ラテン語、ラテン文学、ローマ史 750点
フランス語、仏文学、フランス史 375点
ドイツ語、独文学、ドイツ史 375点
イタリア語、伊文学、イタリア史 375点
数学 1000点
自然科学(化学、電磁気学、博物学、地理、鉱物学) 500点
人文科学(モラル・サイエンス 心理学、倫理学、政治哲学)500点
サンスクリット語、サンスクリット文学 375点
アラビア語、アラビア文学 375点 

6875点万点のうち、英語と古典語だけで3000点を占める。
数学にも1000点配されている。
オクスブリッジで伝統的な教育を受けたものが圧倒的に有利である。

古典語の教育にお金をかけられるのは結局エリート層だけですから「エリート支配の制度化」につながったようです。

グローバリズムを口にするわれわれはジマーンの、マリの、そして一九世紀イギリスの世界観を超えるもの言いをいまだに獲得していないのではないか。国際連合を結成した人々が陰に陽に「帝国の時代」のイギリスに縛られていたために、それは無理のないことになのかもしれない。
マリのリベラリズムも、マリが反発した保守主義も、ともに「白人の責務」を核とする世界観に根ざすものであった。その世界観がイギリスのインド支配と、古典教育によって培われ、鍛えられたものであったとすれば、古典がいま何を生み、何を再生産しているのか、よくよく見定める必要があるだろう。そうした問題意識もまた、帝国の遺産としてここに書きとどめておく価値があるはずだ。


でも、だからといって古典教育を批判すること、現在の文脈でいえば、グローバル英語教育を批判すれば、問題解決するということでもないでしょう。むしろ、古典や英語は、自分の力で能動的に学ぶならば、批判精神を養うことのできるまさしく「古典」の宝庫なのですから。

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